みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『神様の贈り物』 木内 一裕

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

無表情で無反応。全てに無関心な殺し屋チャンスは、バスジャック事件に遭遇し一躍ヒーローになった。だが恩人に頭を撃ち抜かれ、死の淵から奇跡的に甦った彼の目に映る世界は、劇的に変化していた。「水は美味しく花は美しい」。脳の障害を取り除かれ「心」を手に入れたチャンスは自分の過去と対峙していく。

【感想】

脳障害の原因はクリューバー・ビューシ症候群。脳腫瘍により、心を喪失してしまう病気。恐怖心や認識力の喪失、衝動抑制や感情の欠如などの症状が起こるそうです。恐怖というネガティブ感情は過剰になると問題だけど、自己防衛にも繋がるのでデメリットだけではないと聞いたことがあります。この病気が起こす影響や治療法など、ネット検索していく内に自分の心を守るために無意識で行われる心理に「防衛機制」というものがあるようで...と心理学的な方向に興味が逸れ、脱線状態になってしまった。。さて物語は...

恐怖心を持たないチャンスは凄腕の殺し屋に育てられていきます。心を取り戻したチャンスの人との交流が温かいほど切なくなるし、自分の過去との対峙は悲しみが帯びてくる。自分は幸せになってよいのかどうか?チャンスが導いた答え...まぎれもない終着駅に一緒にたどり着いた気持ちになり、辛いけどホッとした。心がないものが、心を持つ物語って、無垢すぎて、切なくなってくるのよね