みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『汝、星のごとく』 凪良 ゆう

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
【感想】

愛人と暮らす夫の帰りを待つ母の心の均衡に不安を抱く暁海。恋人を追いかけてきた母と島に移住した櫂は幼いころから母にネグレクトをされるが、母の幸せを願い、寄り添う。母に振り回される二人は似た境遇を分かち合い、次第に惹かれあう。高校卒業後、将来の夢を叶えるために上京する櫂と母を支えるために島に残る暁海。距離ができた二人はすれ違っていくが...。

母親のケア、島民の閉鎖的なコミュニティ、経済的困窮、心理的にも大きな負担を抱える子供たち。犠牲の代償が大きすぎる。子供たちが優しすぎて、しんどくなってくる。環境は変化するのに、状況が変化しないもどかしさは想像しても苦しくなる。切り捨てるという選択肢がない子供の気持ちが共感できるから、なおしんどい。世間の正しさに縛られてしまうことってあるなぁ。

「正しさなど捨ててしまいなさい。もしくは、選びなさい」

捨てると選ぶ。意味は違うのに限りなく近いふたつの言葉。何を捨てて、何を選ぶのか。何事にも大切なことだと思う。人生の断捨離。選択した未来がどう自分に作用するのかわからないけど、選択肢のない人生よりは幸せに近づけるのではないかなぁ。子供の自立とは?ということに葛藤していた時期に読んでいたので、少し疲れた。