みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『スピノザの診察室』 夏川 草介

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、 一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。 哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが……。

【感想】

京都の地域病院に勤務する雄町哲郎は「マチ先生」と呼ばれ、親しみのある内科医。外科医の鍋島院長や中将医師、元精神科医の内科医・秋鹿医師と末期の癌患者やアルコール疾患による肝硬変など重病者たちを診る(看取る)。患者の命と向き合い、命の在り方や人の幸せとは?を終末医療から考えていく作品です。今までは病気を治癒し、命を救う医療現場から病に向き合う医師と患者の葛藤を考えさせられる医療小説を読んできたが、本作は完治することが全てではなく、治らない病とどう付き合っていくのかが重要で命を救うことが患者の幸せという思い込みを払い、患者、介護をする家族一人ひとりの人間に向き合い、寄り添い、どうすれば患者が日常を幸せに過ごしていけるのかを真摯に学ぶ医師たちの姿にわたしは不思議と心が凪いでいくのです。自分が患者やその家族の立場になったら、マチ先生のような医師に寄り添ってもらいたいと温まる想いが溢れているんだと思う。

マチ先生は凄腕医師でもあり、大学病院で研究をする医師たちからは一目置かれた存在。研修医として、大学病院から送られた南茉莉もマチ先生から大きな学びを得るひとりです。多分続編があると見込んで...高度な最先端医療と小規模な町の医療という対照的な医療現場を行き来する彼女のこれからの成長も楽しみ。

タイトルにある「スピノザ」というのは波乱万丈な人生を送りながらも悲壮感や絶望感のなく理知的で静謐で掴みどころのない哲学者だそうで、そのスピノザの思想から読み解く人の幸せとは?

「人間はとても無力な生き物で、大きなこの世界の流れは最初から決まっていて人間の意志では何も変えられない...だからこそ努力が必要

救うことのできない命、希望のない世界を前にして、病ではなく人と向き合うことの大切さ。患者とその家族にどう寄り添っていくのか。深いテーマだけどマチ先生..夏川先生の文章は読みやすく、ユーモアがあり、一人ひとりにとても思いやりや優しさがある。京都の情景や日常が緩やかに流れ、言葉が自然と入り込んで、重苦しさを感じず、静かに心に響いていく。生と死という深刻な医療現場ではあるが、読んでいくうちに心が凪いでいくのも優しい文章(悪い人がいない!)のおかげだと思います。

『存在のすべてを』 塩田 武士

 

存在のすべてを

存在のすべてを

Amazon

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。質感なき時代に「実」を見つめる、著者渾身、圧巻の最新作。

【感想】

平成3年に神奈川県で発生した児童と幼児(内藤亮)が誘拐されるという不可解な「二児同時誘拐事件」から30年。児童は保護をされたが、幼児は発見されないまま犯人逮捕に至らず、事件は迷宮入り。しかし3年後、亮は祖父母の家に戻り、空白の3年に何が起きたのか不明のまま30年が過ぎる。当時担当していた旧知の刑事が未解決事件に無念のまま死を遂げたことがきっかけで新聞記者・門田は事件の真相を調査し、空白の3年、被害男児の「今」を追いかける。そして1人の天才写実画家の存在が浮かび上がる。

事件当時の犯人と警察、被害家族間のリアルな緊張感にハラハラする。警察庁と記者との臨場感も重ねてきて、当時の熱い現場が迫ってくる。

いくつかの謎がミステリー仕立てで描かれ、ストーリー性がとても面白いのは確かなのだが、この物語は絵画の世界、写実画家の感性、画商や画廊経営者、画家の辿る泥臭い生き方、嫉妬、欲望など、美しい世界の中に潜む優美とかけ離れたリアルな人間の生き様が厚みを増していくのです。真相に迫る中、写実絵画の美しさ、画家の純粋さに何度心を奪われたか...写真よりもリアルに描く芸術。細密に描かれた絵の圧倒的な「実在の凄み」は観るものの記憶に強く焼き付かせる。画家の模写に徹底する狂気、写実の才覚に何度も感動をし、魅了されていきました。

空白の3年間..写実画家が狂わされた絶望と幸福な時間。弱き小さな存在を守り抜き、研ぎ澄まされていく芸術の感性を育み、惜しみない深い愛情と永遠に続くことのない幸福にただただ辛くて辛くて。。残酷な事件、美術界の裏側、SNSで日々垂れ流される虚構と、汚れた世界の中で純粋な芸術と人間愛が際立つ物語でした。ラストシーンの余韻がいつまでも心を焦がし、今年印象に残った作品であることは間違いないと確信したのです。

『去年の今日』 長島 有里枝

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

かけがえのない存在がいなくなってからの日々。互いに思いやりながらの関係と優しい距離。悲しみに寄り添うこと。

【感想】

愛犬PB(ピビちゃん)を亡くした家族の喪失が描かれた作品。PBが亡くなるまでの苦しみは何度も本を閉じてしまうほど、辛かった。いずれは訪れる愛犬とのお別れ。読んでるだけで動悸がしてしまう(いま感想を書いてる時も涙がうっすら)のに、その時に覚悟が持てるかなぁと落ち込んでいくのです。ため息を漏らすわたしの足元で寝息を立てるココア(我が家の愛犬14歳♀)...ギュっと抱きしめたいけど、ぐっすり寝ているので、やめとく。気を持ち直し、また本を開く...。

PBを亡くしてから、喪失感で精神が不安定になる母・未土里(みどり)を支える大学生の息子・樹木(きぎ)と母の恋人・睦(あつし)。。結婚生活をし、誰かと共に暮らすことの難しさを知る未土里は樹木が幼いころに離婚をし、仕事と育児の両立をする。幼い樹木に弟や妹をあげることはできないと悩んでいたところ、小さなPBと出会う。それから十数年が経ち、世界は新型コロナウイルスで緊急事態宣言。感染の猛威を振るう中、PBの体に異変が起こり、お別れの時が...。

深い悲しみは愛犬家としては十分伝わるのだが、文体がわたしには読みにくく、頭に入りずらいため、物語としてはとても印象が薄い。各章、樹木と睦それぞれの視点からPBと未土里との関係性が語られているのですが、突然視点が「わたし」に代わり、混乱してしまう。前触れもなく、行間もなく、、本当に突然。わたし(未土里)の描写や心情が急に描かれるので、とても不自然な流れに感じるのです。あと一人称に惑わされる。「樹木」と名前で語られていたのにまたも突然「僕」と一人称が現れる。この「僕」は誰?と見返すと紛れもなく樹木なのです。またも混乱が起きる。いま誰の話?と理解するまで、すこし時間が要する。煩わしさが生じる。疲れる。しかし愛犬の喪失感に共感をするので、寄り添い涙する...という、激動の読書だったのです。最後の章がこれは誰だ?状態でしばらく読んでいたら天国にいるPBだった。。丁寧語で綴られているので、ちょっと笑った。苦しみもなく幸せそうで良かった。

読み辛さはあったけど、未土里の壊れ方はわたしも起きそうな予感がするので他人事ではない。樹木は幼いころから一緒に育った可愛い妹のPBを失って辛いはずなのに、不安定な母の壊れていく姿に不安をし、そばから離れずそっと見守りながら、悲しみや喪失を静かに受け止めている。そのことに気づけない未土里は後悔で苦しみ、恋人や息子に思いをぶつける勝手な人のように思えるけど、かけがえのない存在を失うって少し心が壊れる。。わたしも経験があるので、我が子たちの不安が樹木から伝わり、心苦しさを感じた。PBの写真を美容院に持って同じ色に染めてもらう未土里の行動に犬の写真を持ってくる人は初めてと美容師さんが驚くという場面があったが、わたしもココアの髪型が可愛いから、同じにしてと写真を持ち込んでボンバーヘッドにしてもらったことがある。。確かにすごい驚かれた笑。

お別れは避けられないし...何をしてあげても後悔はするだろうし...だからこそ今の時間を大切にして、愛情を注いでいこうと深く思いました。しばらく動物の小説は離れよう。。涙が枯れるほど泣いてしまうから、動物の小説は苦手だ。

『君が手にするはずだった黄金について』 小川 哲

 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。彼らはどこまで嘘をついているのか? いや、噓を物語にする「僕」は、彼らと一体何が違うというのか?

【感想】

就職活動中、エントリーシートを書くことに失敗した僕(小川哲)は小説を書くことに...というプロローグが、まず引き込まれる。僕の考察が独特でまた面白い。

「三月十日」が好きなお話で、東日本大震災当日の記憶の詳細は誰もが記憶をしているが、前日の記憶は曖昧。前日の記憶を探る僕。平凡な一日を過ごしていた自分を真剣に探るという行為に惹かれたのです笑。確実に存在していたその日の記憶を忘れる。忘却という作用は生きる上でとても重要な役割だと思う。忘却作業と同時に記憶の改ざんという自分に都合の良い処理をするので、過去の記憶は曖昧に変化してしまう。忘却ってご都合主義にも使われるし..笑。わたしの三月十日の記憶は...。

表題作は投資講座や会員向けの有料ブログで儲けた人気のトレーダーの嘘が暴かれ、SNSで炎上した詐欺師(元同級生)の話。悲しい話で、才能という黄金を手にしたい男の哀れな末路とSNSの恐ろしさにため息が出てしまう。余談ですが、炎上について...SNSに書き込む言葉は本当に自分の言葉(思想)としてどのくらい存在してるのか...過激な言葉が日々垂れ流されていて、目にするだけで疲労感が伴う。浅い情報(知識)だけで発信される言葉たち。武器に使われる言葉たち。言葉たちに病んでしまう人たち...と、なんだか疲れます(愚痴ってすみません)。。話を戻すと、元同級生から小説家の僕は「お前の仕事は才能がないとできない」と言われ、「作家はむしろなんの才能もない人間のために存在する職業だ」と答える。小川さんは小説家には社会に進むことができない「人としての欠損」が必要で、たまたま小説をたくさん読んでいたから、書けそうだなと選んだ職業と仰いますが、物語を描くこと、受賞作品を生み出すこと。凡人のわたし(特に読書を好む人間)にとっては素晴らしい才能だと認識したうえで、作家さんのこういう捉え方もあるのかと、面白いなと思うのです。

6つの短編を読み終え、プロローグのエントリーシートの書き方に悩む僕に指針をする恋人の言葉を振り返る。

「エントリーシートに小説を書けばいいのです。就職活動はフィクションです。あなたはフィクションの登場人物です。話が面白ければ別に嘘でもいいのです。真実を書こうとする必要はありません。」

この作品はどこまでが著者の事実でどこからがフィクションなのか。主人公の小説家を自分自身にすることで、より小説家に迫っていくって面白い発想。哲学的で難解なところもありますが、引き込まれていくのは著者の知的な文章と魅力的な思考だと思う。独特な考察をする著者の着眼点も興味深い。ユーモアもあり、真面目さもあり、めんどくささもありで小川哲さんという人物の入門書のよう。とても面白かった。

 

『リカバリー・カバヒコ』 青山 美智子

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの日の出公園には古くから設置されているカバのアニマルライドがあり、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで”リカバリー・カバヒコ”。アドヴァンス・ヒルに住まう人々は、それぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。

【感想】

青山さんらしいハートウォーミングの物語。ちょっとつまずいた人の心の浄化本ですね。

成績不振で自信を失う高校男子生。ママ友と馴染めず孤立をしてしまう母親。体調不良で休職中のウェディングプランナー。仮病をして駅伝大会を免れた小学生男子。高齢の母との親子関係に悩む息子夫婦。悩みを抱える人たちがカバのアニマルライドに悩みを打ち明け、自身の心と向き合っていく。。身近な悩みなので、共感する人は多いと思う。どの物語もそっと背中を押してもらえ明日も、がんばろう!という前向きな気持ちになります。カバヒコがかわいい。わたしはカバが大好きなので、カバのアニマルライドがあったら乗りたいなぁ。と、ほっこり心温まる物語ではあるの..ですが..少し残念な感想を..単調な展開に物足りなさを感じる。カバヒコが住民たちの心の拠り所になるほどの存在感というのも薄く(子供ならわかるが、現代人の大人たちがアニマルライドに...違和感がある)、お決まりパターン(セリフも)に苦笑いをしてしまう。いい話だけど、傑作ではないかな。。ハートウォーミングに釘を刺していると心の澱みを披露しているかのような気分になるなぁ...(;^ω^)

しかし青山さんの本は見事に悪い人が登場しないので、疲れた時は安心して読める作品であることは間違いないです。だから負担なく軽やかな気持ちで読めます。大丈夫です(何が?笑)

『星を編む』 凪良 ゆう

 

星を編む

星を編む

Amazon

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』続編。『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語。櫂と暁海を支える教師・北原が秘めた過去(「春に翔ぶ」)、櫂の小説『汝、星のごとく』と、櫂と尚人との未完の漫画を刊行するために魂を燃やす編集者・植木と二階堂の物語(「星を編む」)、繋がる未来と新たな愛の形(「波を渡る」)の3編が収録。

【感想】

前作『汝、星のごとく』は2作目の本屋大賞受賞作品となり、会見で本屋大賞への想い、出版社や書店員さんたちへの感謝を涙ながらに語る凪良さんの姿が今でも思い浮かびます。。昨年の2月、前作を読んでいた頃のわたしは自分に降りかかる現実を受け止める余裕がなかったため、櫂と暁海の生きにくさがしんどかった。余裕を失うと生き辛さに苦しみ、悪循環に陥るとこの物語からまざまざと教えられつつ、当時のわたしも余裕がなく、心に鞭を打たれ、苦悩と衝撃に疲労感が残るという。つくづく心の余裕は優しさや思いやりを生み出すのだと、そんなことを思い起こします。それでも続編が出版されたことに喜び、すぐに手元に置きながらも開くことのないまま..先日本屋大賞ノミネート作品発表。。選ばれました(続編も選ばれるのかぁ)

瀬戸内にある小さな島で17歳の櫂と暁海が出会い、親や夢、恋にもがき、駆け抜けた15年の物語(『汝、星のごとく』)..頭の片隅に淡くぼんやりと存在していた二人。続編を読み、鮮明に脳裏に浮かび、懐かしさも混じる中、登場人物たちそれぞれの「生きる」リアリティに深く入り込むことができました。

特に表題作「星を編む」が良かった。櫂と尚人の才能を見出した植木さんの無念さや後悔、櫂の小説刊行に向けて奮闘する二階堂さんの熱い想いに胸打たれるものがある。仕事と家庭の男女の役割や出版社の仕事が描かれていて、特に女性編集長で活躍する二階堂さんの仕事像は現代のはたらく女性たちに突き刺さるのではないかと。そして男性の嫉妬...おぞましい。。一冊の本を作り上げるまでの出版社の仕事には頭が下がります。原作者の生み出す力、最大限に引き出す編集者。「作家と作家の表現を守るのが編集者の仕事だろう」(熱い!)読書好きのわたしは書店員さんを含め、出版に関わる人たちに感謝です。

櫂と暁海を支える北原先生の物語も描かれています。。前作で「正しさなど捨ててしまいなさい。もしくは、選びなさい」先生のお言葉に心の付箋をつけていました。壮絶な人生(ため息が出る決断をします)ではあるが、自分で道を選び、光を見つけ、前進する北原先生だからこそのお言葉なのかと、さらに心に沁みました。

「普通」とは何か?って永遠のテーマのようで、難しい。困難な時ほど、「普通」を追い求めたくなる。澱んだ過去に苦しむ人や、今大きな荷物を背負ってる人、なにげない「普通」の幸せが見えなくなることがある。期待してなかった手作りごはんが美味しかったり、天気予報は曇りだったのに、思いのほか晴れて洗濯物がすっかり乾いてたり、現金支払いがピッタリ払えたり...こんな小さな幸せの積み重ねが背負ってる肩の荷を軽くしていくのかな..。ノミネート作品、優しい本でスタートできて幸せです。スピンの色も優しいピンクで、なんかあったかい💕

『成瀬は天下を取りにいく』 宮島 未奈

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」

2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。

【感想】

この話題作の主人公はどうやらとてつもなく面白いらしい。去年ネットで沸かせた「成瀬」という少女の存在を密かに気にしながらも、お祭りムードには乗る気になれないひねくれっぷりが突如現れ、お友達から借りていたにも関わらず、積んだまま年明けに。。最近続編が出るとか、もう出たとか、続編のレビューをちらほら目にするとか。。またも「成瀬」が話題に。。

「成瀬」ってどんな子なの?と表紙をめくると、そこには「ありがとう西武大津店」と書かれたマスクをし、西武ラインオンズのユニフォームに制服のスカートを着た強い意志を感じる眼差しでまっすぐこちらを見つめる少女がいた。その姿を残したまま、物語へ。

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」という書き出しにクスっと。。地元のデパート閉店まで毎日通う。。お笑いの頂点を目指し、漫才を始める。。自分の髪で長期実験に取り組む。。そして夢は「二百歳まで生きる」。。可能性を妥協せずに納得のいくまで行動をする。結果ではない。やり始めること。途中でやめてもいいし、続けてもいい。ついつい結果を想像して、行動に躊躇してしまうが、この突き進む成瀬精神が気持ちが良い。成瀬の魅力を最大限に引き上げた島崎さんの存在はかなり大きいと思う(武士道シリーズの西荻早苗のよう)

「成瀬と一緒ならできると思った。わたしはずっと楽しかったよ」

成瀬あかり史を見届け、滋賀をこよなく愛する成瀬ほど熱量のない島崎さんの地元愛も良かった。成瀬あかり史に注目したのはブランチ大津京のもしかめ回数を競う大会で成瀬が四時間過ぎても玉を落とさず優勝した記録。。これはすごい。過去最高82回しかできなかったわたしのけん玉意欲に火が付いた瞬間でした。続編も楽しみにしてます。