みみの無趣味な故に・・・

読書、映画、ネット。。。。インドアな日々を書いてます

『怖い絵』 中野 京子

 

怖い絵 (角川文庫)

怖い絵 (角川文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

 

【感想】

画家の心情や生い立ち、時代背景、歴史から紐解く名画の奥に潜む恐怖。。
女性差別、繰り返される愛憎劇、老婆に対する嘲り、ギリシャ神話、魔女裁判、王家の政略など。。人間の権力、性愛、脆さ、差別、傲慢、憎悪が浮かび、、絵から断末魔が聞こえそう。。名画を生み出す画家の繊細さと狂気の紙一重さを感じた一冊。。怖いもの見たさで他の作品の怖さも知りたい。

 

『落下する夕方』 江國 香織

 

落下する夕方 (角川文庫)

落下する夕方 (角川文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

 

 【内容紹介】

八年間一緒に暮らした健吾と別れた。入れ違いに押しかけて来たおかしな同居人華子のおかしな魅力に取りつかれはじめる私。永遠の日常を清新なまなざしで追う、新しい世代の恋愛小説。

 

【感想】

再読しました。以前は衝撃的で読後は放心状態になった本。。今回はとても静かに絶望を受け止められるようになった。。大人の中でもがき苦しむ華子を冷静に読み返すことができたからかもしれない。
健吾と同棲していた梨果は突然ふられる。健吾を忘れられないまま健吾の片思いの女性・華子と同居。。華子は自由奔放で無邪気で冷静で魅力的な女性。。男性を狂わせてしまう華子に最初は理解できない梨果もどんどん惹かれて行く。。衝撃的な華子という女性を通して健吾から自立していく梨果の失恋再生物語。。
どの人からも愛されるが愛することをわからない女性。愛を知って、失い、憎みきれない女性。愛する女性に苦しみながら愛し切る男性。。みんな切ないなぁ。

 

 

『コタローは1人暮らし1~3』 津村 マミ

 

コタローは一人暮らし 1 (ビッグコミックス)

コタローは一人暮らし 1 (ビッグコミックス)

 

 

コタローは一人暮らし 2 (ビッグコミックス)

コタローは一人暮らし 2 (ビッグコミックス)

 

コタローは1人暮らし(3) (ビッグコミックス)

コタローは1人暮らし(3) (ビッグコミックス)

 

 

おすすめ ★★★★☆

 

【内容紹介】

訳あり独居4歳児アパートメントコメディー

「アパートの清水」に突如、コタローという4歳の少年が引っ越してきた。
なんと彼は一人暮らし・・・!しかしながら妙に生活力があり、むしろアパートのちょっと駄目な隣人の大人たちよりも余程しっかりしていて!?
そんなコタローのちょっとずつ明らかになる過去に、皆が心を震わせていく・・・
笑って泣けるアパートメントコメディーの開劇!!

【編集担当からのおすすめ情報】
4歳児らしからぬ生活力を持つコタロー。
しかし何も不自由なく暮らしている彼には、様々な「訳」があります。
可愛さの合間にちょっと見える、寂しげな表情・・・
そんなコタローの愛くるしさに悶絶し、切なさにホロリとしてください!

 

【感想】

しっかり者のコタローくん。しっかりの裏では切ない事情が・・・

笑える...泣ける...心痛む...ほんの少し強くなれる...漫画です。

 

『木漏れ日に泳ぐ魚』 恩田 陸

 

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

舞台は、アパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿―共有した過去の風景に少しずつ違和感が混じり始める。濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。不思議な胸騒ぎと解放感が満ちる傑作長編。

 

【感想】

1枚の写真についての物語でもあり、ある男の死を巡る謎についての物語でもあり、山の話でもあり、、そして、一組の男女の別離の話でもある。。

男女が引越しをする前夜。。別れの時を過ごす。。お互いがあの男を殺したのではないか?今夜、告白させることができるか?男女の心理攻防戦という長い夜が始まる。。...
部屋の一室、お互いの疑心を悟られず、男女が思い出話を話す。。2人の曖昧な記憶を辿るうちに予想外の真実が暴かれる。。

何を書いても、ネタバレしてしまうお話。。ミステリーのような。。ミステリー?のような、、早い段階で色んな事実が発覚。真実も早めにわかります。。愛の話に突入してました。。謎の真実が気になり、一気読みしていたら、、謎より興味深い、、愛の物語でした。最初の吸引力は凄かったです。。一気読みしました。。途中から、読む力が弱まりましたが、話が盛りだくさんなので、もう少しシンプルにまとまってもいいかなぁと思いました。

 

『完璧な病室』 小川 洋子

 

完璧な病室 (中公文庫)

完璧な病室 (中公文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

 

【感想】

表題作「完璧な教室」
弟はいつでも、完璧な土曜日の記憶の中にいる。。余命僅かの弟と姉の完璧な病室でのひと時。。ゆっくりと別れが近づく。
この完璧な病室と現実世界との歪み。。。静かな時間の中で姉の激動の心の動きに狂気と喪失への安堵を感じられました。...

揚羽蝶が壊れる時」
痴呆症の祖母との暮らしで正常と異常の境目に悩む女性の心境。。すごく共感できた。。異常性を認める現実から自分の正常さを否定していくこと。。陥入りそう。。

「冷めない紅茶」
同級生の葬儀でかつての同級生K君と再会。K君の妻(当時中学校の図書室司書)との暮らしに触れた「わたし」は現実の暮らしに小さな不満を抱き始めていく。。この話が1番狂気が高い気がする。。

「ダイヴィング・プール」
孤児院を営む両親の元で孤児たちと育つ彩。彩が小さな子供を世話する中で芽生えた「残酷な気持ち」。。感情をさらけ出す赤ちゃんへの嫉妬。。怖いよ。

どのお話も心の繊細な部分から歪みを生じ、、少しずつ狂っていく女性たち。。。怖いけど、、共鳴してしまう部分もある。。女性の心情の表現力が美しい。生々しい表現により、恐怖に陥ったり、、魅了された世界に心奪われる女性の表現ども、どこか不安定感で危ういのに、入り込んでしまう気持ちど。。狂気のに、とても透明感のある静寂世界でした。。

『骨を彩る』 彩瀬 まる

 

骨を彩る (幻冬舎文庫)

骨を彩る (幻冬舎文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

【内容】

十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ……。彼女はどんな気持ちで死んでいったのか――。わからない、取り戻せない、どうしようもない。心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。

 

【感想】

5つの連作短編集。
『骨を彩る』というタイトル。。どんなお話かと読んでいくうちに、、人間のどこか足りない部分。。どうしようもない部分。。骨が1本足りないような感覚。。それでも時間は過ぎていく。。そんな話でした。...

最後の「やわらかい骨」では幼い頃に母親を失った少女が友情と初恋に触れ、変化をもたらす前向きな物語。。冒頭の「十三歳だった。。。自分の骨を蝕んでいる黒いしみに気づいたのは。」という一文を読んだ瞬間、、既に希望という言葉を頭の中に浮かべながら、最後まで読みました。。

どのお話も、それぞれの主人公が大きく関わりを持たないけど、、一貫して「足りない」中でも補っていこうとする、とても繊細な物語ばかりでした。。彩瀬さん。。心がチクリとするけど、読んで行きたい作家さんです。

 

『騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編』 村上 春樹

 

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

【感想】(ネタバレ注意)

まりえ失踪事件が起こり「私」は解決の糸口を探す為に騎士団長に相談をする。指令通り、日本画家・雨田具彦と対面し、そこで騎士団長から「わたしを殺せ」と命じられる。従わなければまりえは救出できない。。殺害後、「私」は地底の国を彷徨う。。そこで過去と未来と向き合いながら、地上を目指していく。。。冒険ファンタジー。

読み終わり、、思ったのはとてもアクティブで優雅で濃厚な「私」の時間旅行日記だと、、思いました。妻からの離婚を突き付けられてから、自分の意志ということではなく流れに自然と沿っていく日常の中の非日常。。そこから不可解だった過去の思い出、奇妙な現象が起こる現在、未来に向かうための過去との対峙。。壮大だけどすごくコンパクトで密なお話でもあった。

村上作品では多い性描写が今回は攻撃的だった気がする。ユズと別れて一人旅をする東北のホテルの一室での「私」の夢。マンションで寝ているユズと性行為をする。とても過激で攻撃的な表現だったので驚かされた。。
まりえの大きな悩み。。「胸が小さい」は重要性があるのかどうか?どういうことだろ?思春期の少女のよくある悩み?というだけ?と頭の中で「???」が並んでいたが、、村上春樹さんと川上未映子さんの対談本『みみずくは黄昏に飛び立つ』でこの話題となり、村上氏は「まりえが胸の話をわたしにすることにより、わたしへの性的対象と見なしていない」という意図があったそうです。。わたしはその意図が全く伝わっていないと感じました笑。

第2部の中盤が読み進められなくなった時もありましたが、物語はとても楽しめました。