おすすめ ★★★★☆
【内容紹介】
2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。
60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。
長らく忘却していた20年前の記憶――黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。
まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな〝シノギ〞に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい……。
【感想】
アパートで母と二人で暮らす花。15歳。帰宅したある日、母の代わりに見知らぬ女性が隣で寝ている。黄美子と名乗る女性。母娘関係は微妙、学校ではいじめに遭い、複雑な環境で暮らす花にとって、全てを受け入れてくれる黄美子さんは圧倒的存在となっていく。高校生になった花はバイトに励み、自立を夢見るが、勝手な大人たちの犠牲に。。(現実でもあるんだろうな..悲)。。家出をした花を救う黄美子さん。そして黄美子さんとの二人暮らしが。。(不穏で不安)。。風水を信じる黄美子と花は金運向上のために西に黄色の物を置くの。。(Dr.コパっていたね。懐かしい)。。キャバ嬢・蘭、女子高生・桃子と出会い、四人の共同生活が始まる。。家を守ろうとする働き者の花の健気さや真面目さが危険な道に。。頑張りすぎが居たたまれないし、だらしない母との再会に心痛限界突破。。
「お母さん、お母さん、わたし大変なんだよ、どうしていいかわかんないんだよ...(中略)...ねえお母さん、お母さんはどうやっていままで生きてきたの、みんなどうやって毎日を生きていってるのかわからない...(中略)...ねえお母さん、生きていくのって難しくない?すごくすごく難しくない?どうしていいかわかんないの、難しいんだよ」
声に出せない花の心の訴えに泣けてくる。生きる術を教えてもらえず、社会から閉ざされてしまった少女が狂気の世界で必死に生きるために転落し続ける。共同生活が破綻するまでの息苦しさ。。読むのがしんどかった。逃げてほしい。。ずっと逃げてほしいという気持ちで最後まで読んでいたので、ラストは受け止めきれなかった。
親とか環境とか人生のスタートラインの差...悲しいけど、現実では恵まれた人とそうない人との貧富の差は生じるのかと...考えちゃう。実際、花たちのような生き方をしてる人がいると思うと、ただの小説とは思えない。ゴッホとゴーギャンが共同生活をしたアルルの家を連想させる表紙。カバーを取ると鮮やかな明るい黄色が目に飛び込む。希望を抱き、生きる力に漲るゴッホが描く黄色。この黄色を見てると、花のすがりたい気持ちが少しわかる。わたしも黄色が好き。元気になる(風水は気にしたことないけど)