みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『成瀬は天下を取りにいく』 宮島 未奈

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」

2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。

【感想】

この話題作の主人公はどうやらとてつもなく面白いらしい。去年ネットで沸かせた「成瀬」という少女の存在を密かに気にしながらも、お祭りムードには乗る気になれないひねくれっぷりが突如現れ、お友達から借りていたにも関わらず、積んだまま年明けに。。最近続編が出るとか、もう出たとか、続編のレビューをちらほら目にするとか。。またも「成瀬」が話題に。。

「成瀬」ってどんな子なの?と表紙をめくると、そこには「ありがとう西武大津店」と書かれたマスクをし、西武ラインオンズのユニフォームに制服のスカートを着た強い意志を感じる眼差しでまっすぐこちらを見つめる少女がいた。その姿を残したまま、物語へ。

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」という書き出しにクスっと。。地元のデパート閉店まで毎日通う。。お笑いの頂点を目指し、漫才を始める。。自分の髪で長期実験に取り組む。。そして夢は「二百歳まで生きる」。。可能性を妥協せずに納得のいくまで行動をする。結果ではない。やり始めること。途中でやめてもいいし、続けてもいい。ついつい結果を想像して、行動に躊躇してしまうが、この突き進む成瀬精神が気持ちが良い。成瀬の魅力を最大限に引き上げた島崎さんの存在はかなり大きいと思う(武士道シリーズの西荻早苗のよう)

「成瀬と一緒ならできると思った。わたしはずっと楽しかったよ」

成瀬あかり史を見届け、滋賀をこよなく愛する成瀬ほど熱量のない島崎さんの地元愛も良かった。成瀬あかり史に注目したのはブランチ大津京のもしかめ回数を競う大会で成瀬が四時間過ぎても玉を落とさず優勝した記録。。これはすごい。過去最高82回しかできなかったわたしのけん玉意欲に火が付いた瞬間でした。続編も楽しみにしてます。