みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『悪い夏』 染井 為人

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

26歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめようと女性の家を訪ねる。しかし、その出会いをきっかけに普通の世界から足を踏み外していく。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出を目論む地方ヤクザ。加速する負の連鎖が、守を凄絶な悲劇へ叩き堕とす。 

【感想】

冷たい風が吹く12月ですが、図書館で予約した本が届き、季節外れの本を読むことになりました。

ケースワーカーが受給者に脅迫したり、不正受給をビジネス化するヤクザがいたり、母親が苛立ちをぶつけて虐待をしてしまったり、悪い人たちに巻き込まれた守の転落まで、救いようのない人たちの自分本位な絡み合いが、ちとうんざりさせられる。一番の悲劇は本当に必要としている人に受給されないこと。救われる命と見放される命。貧困の末に母親に手をかけてしまった息子のニュースを思い出しました。社会問題に潜む裏社会ビジネス。巧妙な手口に知らぬ間にハマり、気づけば抜け出せないところまで...怖いわ。