おすすめ ★★★☆☆
【内容紹介】
舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。
【感想】
恩田さんの初期の作品。未読だと思ったら読んでました。
寮で過ごす四人の男子高生たちの自由で孤独な休暇。毎晩、酒盛りで大騒ぎ。二日酔いになっては迎え酒。。自由過ぎる!告白ゲームから引き出されるそれぞれの辛い過去。幽霊騒動から親の離婚問題、吊るされた人形...と、日々何かしら巻き起こる非日常的合宿のよう。朝になると、酒の調達をし、宴会準備をする男子たち。。かなり重くて、深刻な問題を告白した男子もいるのだけど、テニスを楽しんだり、走ったり、また酒盛りしたりと、飄々と過ごすところが男子らしい...のかな?酒と煙草にまみれていますが、爽やかな美少年たちなのです。四人の女子たちだったら、もっとオドロオドロしい方向に行っていただろう。そちらの方が面白そうと思ってしまい、すっかり黒みみ化するのでした。
作者のあとがきに「恩田さんの描く高校生はさわやかすぎる」と言われていたようです。やっぱり。
文庫版あとがきを読むと、恩田さんは当時の自分を振り返り、ほろ苦さを味わってました。この物語を今描くと、ゆったりとして、クールな体温の低い小説になるだろうとも。。深みのある作品になりそうで読んでみたいけど、奔放でまっすぐな男子たちの駆け抜けた七日間がクールになるのも、寂しいかもしれない。