みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『素数とバレーボール』 平岡 陽明

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

【感想】
パワハラ上司にメンタルを病む慎介、上司に恋をする優柔不断の新田、部下と不倫をするマイホームパパの陽一郎、富裕層向けのツアー会社に勤めながら、一攫千金を狙うタクロー、行方不明のプロ雀士みつる。海外在住の億万長者ガンプ君。元岸高バレー部のチームメイト。それぞれの41歳の誕生日にガンプ君から「5万年後に岸高バレー部を再結成することになったら、また入部してほしいこと」「メンバー五人の入部同意書が揃ったら、みんなに500万ドル(2億8000万)支払うこと」「そのためにみつるを見つけ出してほしいこと」という夢のような詐欺のような手紙が届く。慎介、新田、陽一郎、タクローは再会をし、みつるを探す。仕事や家庭を持つ41歳の中年たち。バレー部時代を思い起こしながら、現在に至るまでの経緯が描かれている。キラキラハツラツとした青春時代と中年たちのしょぼくれた日常。あまりにも魅力のない中年たち。自分勝手でいいかげん...女性としては共感しにくく、物哀しくもなってくる笑。不倫だ、離婚だ、恋だ、出世だ...左遷だ。。と、つまらなさを感じる中年たちは「男として」の人生を諦めきれず、ガンプ君の手紙に夢を賭けていくのです。少しだけネタバレですが、不倫で人生転落の陽一郎に対する家族(妻)の優しい対応が、これは男性の希望的観測だと思う。また不倫をするだろうな笑。
爽やかな表紙と帯に書かれた「癒され小説」に騙されそう。特に男性には夢はあるけど、それ以上に苦味のある物語だと思う。女性は少しスカッとする所があるから、面白い笑。
ただ、青春ってかけがえのないもので、ガンプ君の人生を大きく変えてくれた仲間たちへの想いが込められた友情物語でもある。今を懸命に生きるガンプ君の夢は壮大で純粋で一番カッコいい(^^)