みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『首里の馬』 高山 羽根子

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

問読者(トイヨミ)――それが未名子の仕事だ。沖縄の古びた郷土資料館で資料整理を手伝う傍ら、世界の果ての孤独な業務従事者に向けてオンラインで問題を読み上げる。未名子は、この仕事が好きだった。台風の夜に、迷い込んだ宮古馬(ナークー)。ひとりきりの宇宙ステーション、極地の深海、紛争地のシェルター……孤独な人々の記憶と、この島の記録が、クイズを通してつながってゆく。第163回芥川賞受賞作。

【感想】

小川哲さんの『君のクイズ』を読んだ後、クイズつながりで読んだ本です。昨年の師走に読んだ記憶があるけど、、記録がなかった。そして、記憶は朧気に..ということで、さらりと再読しました。前回よりも、じわじわ来ます。なんとも奇妙でヘンテコでシュールな世界観にへんな納得をさせられてしまうような...とにかく不思議です。。不思議さを受け止めさせてしまうような..この妙な感覚は読まないとわからない。

舞台は沖縄。小学生の頃から通っていた古びた郷土資料館のお手伝いをする未名子。そしてオンラインで世界各地の人にクイズを読み上げる仕事をしている。読者..トイヨミ..孤独な人ほど適した仕事..雑居ビルの小さな一室で世界の人に問題を読む。少しばかり会話も..この小さなつながりをそれなりに好む未名子。突如..いかにも突如なんです。未名子の家の庭に大きな動物が...未名子は見たことのない動物に戸惑い、解答者の知恵を借り、どうにか対処をするのです。謎の動物は宮古馬とわかり..ヒコーキと名付け(後で調べたら実在してた!)、観察して行くのだが..そこから、さらに世界観が深く密度が濃くなり、不思議が満ち溢れていく。現実の世界も不思議なことは散りばめられていて、奇妙だなぁと捉えながらも、追及することなく自然と受け止めながら生きている..この本はそういう感覚に似て、不思議さを受け止めながら読み進む...何とも言えない奇妙さ。2度同じことを書いたけど、読んでみないとわからない感覚。

未名子は郷土資料館、クイズ、ヒコーキを通して、無知の恐怖や異質さが疎外されてしまう世界、そして理不尽な破壊を知る。そして得た知識を記録することに行き着く。

前回、この本から得た情報の記録を忘れてしまった。。自分の記録は世界にとっては、無に近い情報だけど世界を変えるより幸せなこと。今回は記録に留めて読了。