おすすめ ★★★☆☆
【内容紹介】
「十六歳だった。あのひとに出会うまで十六年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ている―」。本城えりが電車の窓越しに、賀集玲子の姿を見初めたのは、高校一年のことだった。玲子に憧れ、近づき、ひとつになりたいと願うえり。その強すぎる思いは彼女自身の人生を破滅へと向かわせてゆく。読み始めたら止まらない、衝撃作。
【感想】
同性でも恋心に似た憧れを抱く事はある。十六歳というのは、気持ちを抑えきれず、突っ走ったり、一途な想いに酔いしれたりと恋焦がれる年代です。しかし..主人公・えりは恋に落ちた瞬間から狂気に満ち、自己陶酔に陥り、強い執着心から破滅への道を歩いていく..いや、堕ちていく。胸をしめつけさせられる思いに駆られ、誰よりも好きで、大好きよりも好きで、好きという感情を自分の内に爆発させていく。夢中を超えてる。。玲子に「かれ」ができてから、えりの心情と思い込みが見ていられなくなるほど、怖くて悲しくなってくる。玲子とひとつになるためにえりがする行動が凄まじくて、ぞわぞわと胸騒ぎが止まらなかった。えりは自分の世界の中で暴走していくだけで、決して玲子を傷つけることがない。いつも玲子の幸せを願っている。だから玲子にとって、えりは世界で一番大切な親友のままなのです。究極の片思い。美しいけど、恐ろしい。久々に怖かったわ。
あとがきで「ひと目惚れの小説を書きたいと思った」と書いてありました。ひと目ぼれ...怖い..怖い..怖いという印象になってしまったけど、ひと目惚れってあったかな?なりふり構わず身を焦がす恋はしたかな?って振り返ってしまった...。