みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『花酔ひ』 村山 由佳

 

花酔ひ (文春文庫)

花酔ひ (文春文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆(過激度は★5つ)

 

【内容紹介】

結城麻子・東京の呉服屋の一人娘「夫婦のつながりは、セックスだけじゃないでしょう?」×桐谷正隆・千桜の夫。婿養子だが野心家「俺は、今すぐにでもあんたを抱きとうてたまらんのや」、桐谷千桜・京都の葬儀社の社長令嬢「もう逃がさへん。あんたはうちの奴隷や」×小野田誠司・麻子の夫。ブライダル会社の営業「お願いだから、もう苛めないでくれ」。共犯関係は緊張を帯び、秘密の濃度は高まり、堕ちていく―身も心も焼き尽くすねじれた快楽の行方。恋ではない、愛ではなおさらないもっと身勝手で、もっと純粋な、何か。夫婦だからこそ言えない秘密がある。『ダブル・ファンタジー』を超える衝撃の官能の世界。

 

【感想】

今まで読んだ村山さんの中で一番、過激でした(//Д//)カァァァ…。

麻子はアンティーク着物の買い付けで京都に訪れる。。そこで出会った葬儀屋の正隆。。仕事のためなら、女性と枕営業をする野心家。。その2人が無意識に恋に落ちていく。。2人の揺れ動く心の描写が上手。。官能的な気持ちはこの時点で既に始まってる。。

同時に知り合った正隆の妻・千桜を自宅に招く。。帰宅した誠司が玄関で見た千桜のピンヒール👠。。何か突き上げる感情が溢れ、その心を千桜に読み取られた誠司は「この女に狂う」と予感する。。このシーンはとても印象的で、、危険地帯に突入していきそう。。

浅草と京都の女性たちの対比も良い。快活で天真爛漫な麻子。貞淑で落ち着きのある千桜。言葉や和装の着こなしなども東と西の違いを見せる。。どちらも品があり、色があり、艶やかで素敵な女性であることは共通。。一番魅力的なのは麻子の祖母・トキ江。孫の恋心にいち早く気づき、粋な言葉で女性としての生き方、夫婦としてのあり方を麻子に伝えていく。。

正隆と麻子が接近していくにつれ、千桜と誠司も運命に導かれるかのように、、歪な世界に突入していく。。ここから次第に怖さが広がっていく。。お互いの性癖が合致する千桜と誠司は溺れていき、崩壊的でまさに官能ホラー。。体と心に惹かれ合う正隆と麻子も感情が止まらなくなる。。とにかく抱き合いたい人たち。。あんなに仕事熱心だったのに、、忘れてしまうくらい性に目指めてしまった4人。。どちらにしても苦しみを伴うのはわかる。。序盤の感情の揺れ動きが良かったのに、体の暴走が止まらなくなってから心の部分があまり描かれなかった事が残念。。。

正隆、千桜、誠司がお互いの関係を知っている中、唯一気づかない麻子。。心の中では蠢きながら、日常をこなし、夫へのいたわりを心がける。。麻子のような女性が一番怖いと思った。。