おすすめ ★★★★☆
【内容紹介】
サロト・サル―後にポル・ポトと呼ばれたクメール・ルージュ首魁の隠し子とされるソリヤ。貧村ロベーブレソンに生を享けた、天賦の智性を持つ神童のムイタック。皮肉な運命と偶然に導かれたふたりは、軍靴と砲声に震える1975年のカンボジア、バタンバンで出会った。秘密警察、恐怖政治、テロ、強制労働、虐殺―百万人以上の生命を奪ったすべての不条理は、少女と少年を見つめながら進行する…あたかもゲームのように。
【感想】
登場人物紹介を何度も確認しながら読んだ上巻。。カンボジアの共産党員・サロト・サルは後に革命を起こし、クメール・ルージュという組織を作り書記長・ポル・ポトと呼ばれる。
1956年タクシー運転手から女の赤ん坊(サルの隠し子)を押し付けられた郵便局員・ヒンはソリヤと名付け、妻と養育することに。しかしヒンが冤罪により秘密警察に処刑されたことで、ソリヤの逃亡生活が始まる。
1964年ロベーブレソンの村長の次男誕生。村の老師から「クメール人に大きな災いか幸福をもたらす」と予言された子・ムイタックは家族から変わり者呼ばわりされるが、聡明さ、知性、潔癖症を併せ持つ神童。
1975年ソリヤとムイタックは出会う。人の嘘を見抜く能力を持つソリヤと神童ムイタック。2人の命がけのゲームが始まる。。クメール・ルージュ政権となり、国民の財産は奪われ、大量虐殺が起こる。私的財産の破棄、家族もあらゆる物も何ひとつ所有禁止、恋愛禁止、政府の決められた者同士が夫婦となるが、生まれた子供を取り上げられる。組織のルールに反する者、知力があり、組織を脅かす存在になりえる者などは即処刑となり理不尽な理由で殺されていく。。ソリヤは組織の一員となり、この腐敗な世界を破滅しようと組織の長で父であるポル・ポトを倒す計画を立てる。一方、家族、村人を惨殺されたムイタックは生き残り、組織への復讐を誓う。。そんな二人の再会がどういう世界をもたらすのか?
疾走感はあります。ページをめくる手は止まらないです。ただ過酷です。残酷です。悲しくなります。やるせなくなり、疲弊します。なので、上巻を読み終わったのは1年前でしたが、疲れて、感想書けず。再読したおかげで、人物像がはっきりしました。
どうか狂気な世界をこの2人の手で終わらせ、平和を取り戻してほしいと願いを込めて...下巻へ。