みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画、絵画鑑賞の感想を書いてます。

『ブラック・ティー』 山本 文緒

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

結婚して子どももいるはずだった。皆と同じように生きてきたつもりだった、なのにどこで歯車が狂ったのか。賢くもなく善良でもない。自分のしたことはいつか自分に返ってくるかもしれない。心に問題を抱えた寂しがりたちが、懸命に生きるさまを綴った短篇集。

【感想】

日常に潜む小さな罪。置き引き、DV、家族間の窃盗、留守電の盗聴、飼い猫の誘拐、不倫、キセル、などなど...軽犯罪を犯してしまう人の心理。明らかに犯罪ではあるが、境界線スレスレの絶妙な罪。被害者も知らぬ間に小さな罪を犯していることに気づかなかったりと・・・。感情の境界線を自分でも知らずに超えてしまうかもしれない。特に「ニワトリ」という話。レンタルビデオ店から返却していないビデオの高額請求を取り立てられる女性。そのことをきっかけに姉妹や友達、恋人から借りた物を忘れてしまい、返さない事で信頼を失っていた事を知る。知らぬ間に人の心を踏みにじってしまうこと。気をつけねば!と思いました。

「純真でもなく、賢くもなく、善良でもない平凡な人々ができることを精一杯するだけ。」

この一文に尽きる。

罪は褒められた事ではないけど、正しく生きる人ばかりではない。人の見方によっては、誰もが罪を犯してる。そう考えると、とても怖い。

山本文緒さんの訃報を聞き、残念な気持ちが広がります。哀悼の意を込めて、読ませていただきました。