みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『注文の多い注文書』 小川 洋子 クラフトエヴィング商會

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

川端康成「たんぽぽ」、サリンジャーの「バナナフィッシュにうってつけの日」、村上春樹の「貧乏な叔母さんの話」、ボリスヴィアン「うたかたの日々」、内田百閒の「冥途」、5つの物語に登場する“この世にないもの”を小川洋子が注文し、クラフト・エヴィング商會が探し出す…。はたして「ない」はずのものは、注文主に届けられるのか?現実と架空が入り混じる世界で、2組の作家が想像力の火花を散らす前代未聞の小説。

【感想】

クラフト・エヴィング商會は吉田篤弘さんと吉田浩美さん夫妻の制作ユニットで「あるはずのない書物、あるはずのない断片」などを実際に雑貨で再現し、短い物語を添えて展示されているそうです。明治30年に創業し、お二人は3代目にあたる...という架空設定があり、存在しているようなしていないような、、なんとも不思議で面白い。吉田篤弘さんの本はいくつか読んだことがありますが、どれも浮遊感を伴い、ホワッと温かな空気感や懐かしさを感じます。本作は小川洋子さんとの共作です。
実際の小説の中に出てくる「ないもの」を探す小説。注文書、納品書、受領書という構成で描かれた短編集です。
 
ゆめかまぼろしか異界のような場所に佇む一軒の店。扉を開くと女性の店主が「何かお探しですか?どんなものでも、お取り寄せしますよ」...「本当にどんなものでも?」「もちろん、ないものでもありますよ」「じつは、昔、読んだ本に出てきたものなんですが」と...依頼主の注文が始まる...こういうの、大好き。

小川洋子さんの注文書が面白い。小説に登場する「在るもの」を注文する依頼主たち。なぜ必要なのか?その理由を自問自答しながら、自分の物語を語る注文書。独特な依頼主たちから、とてつもなく広がりのある世界を感じる。
品物を探し出したクラフトエヴィング商會の納品書は写真付きで説明をしてくれます。とある調査機関を使ったり、時空をかける不思議な現象に巻き込まれたり...。時間をかけて探し出してくれるのです。
小川洋子さんの受領書は切ない。時間をかけて探し出してくれたものの、時が進み、依頼主たちの状況や心の変化が起きる。手にしたかったものが、全てを解決してくれるわけではない。物ではなく、時が残酷に解決してしまう時もある。小川さん特有の喪失感を味わうのでした。
 
ないものを探す。時間をかけて、エネルギーを注げば、どんなものでも必ず見つけられるかもしれない。現在はネットで簡単に答えが見つかる。答えがない時の諦めも早い気がする。昔は探し物の為に時間も労力もかけて、手にしたものは宝物のようだった。物だけではなく、人もその時に気づかなかったことでも、時間をかけて、自分を成長させることで気づくこともある。。本もそうかな。時間をかけて読み、大きなものを吸収したり...時には喪失したり...笑。今回も小川洋子さんの創造力は素晴らしかった。。なんとも心地よい読書でした♪

 

『パチンコ』ミン・ジン・リー

 

パチンコ 上 (文春e-book)

パチンコ 上 (文春e-book)

 

 おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

日本に併合された朝鮮半島、釜山沖の影島。下宿屋を営む夫婦の娘として生まれたキム・ソンジャが出会ったのは、日本との貿易を生業とするハンスという男だった。見知らぬ都会の匂いのするハンスと恋に落ち、やがて身ごもったソンジャは、ハンスには日本に妻子がいいることを知らされる。許されぬ妊娠を恥じ、苦悩するソンジャに手を差し伸べたのは若き牧師イサク。彼はソンジャの子を自分の子として育てると誓い、ソンジャとともに兄が住む大阪の鶴橋に渡ることになった……

パチンコ 下

パチンコ 下

 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

さまざまな苦難に耐えながら、彼らは強く生き抜こうとする。在日コリアン一家の苦難の物語は戦後へ。劣悪な環境のなかで兄嫁とともに戦中の大阪を生き抜き、二人の息子を育てあげたソンジャ。そこへハンスが姿をあらわした。日本の裏社会で大きな存在感をもつハンスは、いまもソンジャへの恋慕の念を抱いており、これまでもひそかにソンジャ一家を助けていたという。だが、早稲田大学の学生をなったソンジャの長男ノアが、自分の実の父親がハンスだったと知ったとき、悲劇は起きる。戦争から復興してゆく日本社会で、まるでパチンコの玉のように運命に翻弄されるソンジャと息子たち、そして孫たち。東京、横浜、長野、ニューヨーク――変転する物語は、さまざまな愛と憎しみと悲しみをはらみつつ、読む者を万感こもるフィナーレへと運んでゆく。巻措くあたわざる物語の力を駆使して、国家と歴史に押し流されまいとする人間の尊厳を謳う大作、ここに完結。

1910年の朝鮮半島で幕を開け、大阪へ、そして横浜へ――。小説というものの圧倒的な力をあらためて悟らせてくれる壮大な物語。四世代にわたる在日コリアン一家の苦闘を描いて全世界で共感を呼んだ大作。「物語」というものの圧倒的な力を見せつける大作は1989年に幕を閉じる。構想から30年、世界中の読者を感動させ、アメリカ最大の文学賞・全米図書賞の最終候補作となった韓国系アメリカ人作家の渾身の大作。

【感想】

生まれ故郷から大阪へ移住するソンジャ。日本人による在日コリアンに対する差別を受け、抗いながら生きていく一家を必死に追いかける上巻でした。

下巻は感情を揺さぶられ続けました。あらゆるマイノリティに対する非情で残酷な差別。彼らは屈辱的な存在価値であることを知っている。種子、血...見つからない出口にどう抗えばいいのか?どう生きていけばいいのか?自分の想像力の至らなさを痛感させられました。理解をすることはとても難しい。世界を変えることは無理に等しい。居心地の悪さを感じてしまうのは、誰もが過ちを犯していることを突きつけられたからだと思う。

「人が何者なのかを決めるのは血だけではない」

差別がなくならない社会で諦めながら生きる人々がいる。在日コリアンが行きつく仕事がパチンコ店という現実に逃れられない運命を感じ、流れに身を任せるノアに諦めを受け止める姿勢を強く感じました。アイデンティティに苦悩し、絶望する人や闘っている人もいる。家族というのは、守る力が強ければ強いほど過ちを背負い、取り返しのつかない後悔を抱えていくこともある。。ソンジャの晩年は胸が締め付けられる思いです。差別を覚悟で移住した一世と祖国を選べない二世。この溝はとても深く、永遠と続く。ソンジャのハンスとの出会いは決して過ちではないと思いたい。過酷な人生ではあったが、ハンスの存在はソンジャの人生にかけがえのない大切なものを残した。素晴らしい人格者の夫・イサク、厳しい義兄と優しい義姉、息子、孫たち。。ソンジャの母・ヤンジンと義姉・キョンヒと女三人が台所でくりかえす言葉「苦生」(コセン)。。「苦労は女の宿命」。。どの時代も女性は強い。。愛する家族の為に人生を築き、子供たちも人生を築き続ける。。ラストは衝動が抑えられず、涙が次から次へと溢れ、悲しみが広がるばかりなのです。それでも前に進み、家族と共に生きるソンジャ。強いなぁ。祖国を離れて別の国を故郷にしたコリアン一家の、、ソンジャの激動の物語。ぜひ読んでほしい。




『水底の棘 法医昆虫学捜査官』 川瀬 七緒

 

水底の棘 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)

水底の棘 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)

  • 作者:川瀬七緒
  • 発売日: 2016/10/14
  • メディア: Kindle版
 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

第一発見者は、法医昆虫学者の赤堀涼子本人。東京湾・荒川河口の中州で彼女が見つけた遺体は、虫や動物による損傷が激しく、身元特定は困難を極めた。絞殺後に川に捨てられたものと、解剖医と鑑識は推定。が、赤堀はまったく別の見解を打ち出した。岩楯警部補はじめ、捜査本部は被害者の所持品から、赤堀はウジと微物から、それぞれの捜査が開始された。岩楯たちの捜査と赤堀の推理、二つの交わるところに被害者の残像が見え隠れする。

【感想】

法医昆虫学捜査官シリーズ第三弾🐛🐛🐛
ウジにもだいぶ慣れてきたつもりでいても、想像を掻き立ててしまい、全身鳥肌が立つのが変わらず、。ゾワゾワしながら、気になる事件の行方を追いかけました。

第一発見者は、法医昆虫学者の赤堀涼子本人。東京湾・荒川河口の中州で彼女が見つけた遺体(←江戸区の河川敷。馴染みの場所なので、親近感♪)岩楯警部補はじめ、捜査本部は被害者の所持品から、赤堀はウジと微物から、それぞれの捜査が開始された。岩楯たちの捜査と赤堀の推理、二つの交わるところに被害者の残像が見え隠れする。

今回も定番?の遺体損傷が、今までにない激損傷で、身元判明が大困難なのです。身元不明が捜査を難航にしていくのです。特に警視庁の九条解剖医(身内が警視庁のお偉いさん)の死因鑑定に疑問を持つ赤堀さんが真相を解明していくのが、面白い。そしてカッコいい!

鳥肌立ちながら、健康意識をしながら(低血圧だけど)、また続編を楽しみます。

『クララとお日さま』 カズオ・イシグロ

 

クララとお日さま

クララとお日さま

 

おすすめ ★★★★★

2021年発表の本書『クララとお日さま』は、6年ぶりの新作長篇でノーベル賞受賞第一作にあたる。

 

【感想】

語り手となるAF(Artificial Friend)と呼ばれる人工知能を持つ高性能AI・クララ。子どもたちの友達として開発された人工親友アンドロイドです。好奇心旺盛で、観察力に優れ、自然の世界や人間の心理、動きを観察し、心の成長をしていくクララを選んだ少女・ジョジー。クララの一人称で語られていくので、クララと共にジョジーを取り巻く環境を知るようになります。AIは労働をし、人間と共同生活をし、関係性を育み、人間や自身の心の動きを学んでいくこと。科学技術により遺伝子改編が可能となり、幼少期における教育の発達が向上させられる世界。裕福な家庭の子供は、より優れた能力を備えさせられることができ、高性能なAFを持つことができる。向上処置をしなかった子供の生活格差など、様々な未来のテーマがとても興味深く、倫理観も考えさせられ、時に残酷な決断に苦悩する場面など、AI視点なので断片的に説明される事でより想像し、考え、感情に訴えかけてきます。

特に魅力的なのがクララです。全てを観察し、吸収し、学習していく有能で愛情深いAI。栄養源である太陽光への強い想いがクララの原動力となり、太陽の恵みの奇跡を願うAIの不思議な心の揺らぎや純粋無垢の中に芽生える感情の成長。ゆっくりとわたしの心にも浸透していき、あたたまっていくのです。

 

少しネタバレをしますが、ラストのシーンで印象に残る場面。とある場所でクララがお世話になった店長さんと再会します。最新のAFではなかったクララを最高のAFと称えます。このシーンで家族と暮らすうちに人間として扱われていたクララはAIなのだと再認識しました。家族の望む事を全うしたクララの誇らしげな様子に、店長さんと同様にうれしくなる思いです。

 

科学技術の向上による子供たちの成長、AIに置き換えられてしまう労働、社会の場を失った人間の孤独を補うAIの存在、命に対する倫理観。。何事にも敏感になり絶望感に苦しむ人間と真摯に思考と向き合い心豊かに満ち溢れるAI。人の心とはどういうものか?未来の物語ではあるけど、現代にも通じる物語だと思います。自分に問いかけながら、深く考えることができた。。素晴らしかったです。

追記:ジョジーの母親の事はたくさんの思いがあるのだけれど、うまくまとまらない。クララに対する母の移り変わり。物から人間へ。娘とAI。向上処置の決断と責任。複雑すぎて。。再読した時に母に対しての感想を書いてみます。

『クラゲ・アイランドの夜明け』 渡辺 優

 

クラゲ・アイランドの夜明け

クラゲ・アイランドの夜明け

  • 作者:渡辺優
  • 発売日: 2020/12/22
  • メディア: Kindle版
 

おすすめ ★☆☆☆☆

【内容紹介】

殺人、傷害、性犯罪、交通事故、違法薬物、違法労働、自殺者がゼロの海上コロニー―通称“楽園”。その七つのゼロをはじめて「自殺」で破った少女・ミサキ。ミサキの死に疑問を抱いた僕は、生前の彼女の行動を探りはじめる。そこには、七日前に現れた新種の人喰いクラゲの存在が?

【感想】

時は近未来。ドーム型でシステムにより管理化され、本土(日本)から抽選で選ばれた者たちだけが居住権を持ち、生活が保障された夢の島。楽園。そこに現れた美しい人喰いクラゲ。危険生物に興味を抱くクラゲ好きのミサキは、親友・ナツオの目の前で自殺を遂げた。興味をそそるミステリーのはずが...。

クラゲ好き...その理由だけで、読んでみた。そして途中挫折しました。。ふわふわと浮遊するクラゲのように、話の進行のゆらゆら感に酔いそうになる。それでも何とか読み終えた。
親友の死の真相、自殺を巡るコロニーの陰謀、人喰いクラゲの脅威、楽園の魅力、本土と楽園の対立、、と、興味深い近未来の世界が全て中途半端に描かれていて、もったいない気持ちが広がる。。特に楽園の魅力が感じられず、世間話が多い登場人物たちの退屈な会話に疲れ、全ての謎に興味が湧かなくなってしまった。ミステリーなのに、致命的な読書となってしまう…ε-(‐ω‐;)
親友・ナツオのぼんやりとした性格や口癖にいちいち引っかかってしまう。
「あ、そうですね」
「あ、わかりました」
「あ、えっと、」
「あ、はい」
「あ、」だけの時もある笑。
「あ、」始まりの意図は何?気になるわ。謎の解明をする大きな役割を担う人物なのに、クラゲのようにふわふわとした思考力で、話が進まない。。ラストまで何を伝えたかったのか?が読み取れず、最後まで消化不良が続き、辛かった。唯一面白かったのは、ミサキが命名した人喰いクラゲの名前。それくらいかな。。今年のワースト本になりそうです。

『正欲』 朝井 リョウ

 

正欲

正欲

 

 おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。

息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。

しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、
ひどく不都合なものだった。

「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、
そりゃ気持ちいいよな」

これは共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?

【感想】

朝井リョウさんの作品は、『少女は卒業しない』を読んだことがあります。『桐島、部活やめるってよ』の映画は観ました。1冊しか読んでいないのですが、多感な年代の人間関係や少女たちの微妙な感情を繊細に描き、言葉のセンスが上手だなぁという印象が残ってます。この作品は表紙とタイトル、評価がとても気になり、手に取ってみました。軽い気持ちで...。

感想...悩むなぁ。言いたいことあるかなぁ。いっぱいあるんだろうなぁ。いや、あるんだよ。熱量は高めだけど、言葉に表すことが全て陳腐な気がして、何を言っても、常識が覆されていくようで...。マイノリティ(もっと深い...狭い..マイノリティ)に目を向けながら、マジョリティの本質を突きつけさせられる。深く追及したくなる言葉の数々を振り返るけど、思考が先に進まない。

「この地球に留学しているみたい」という想像に及ばない気持ち...。常識、普通、正しさ...これって、一体何?って頭に巡り、着地点が定まらない。安穏な場所を求めてしまう事に疑問を持つことなんてなかったと思う。覚悟なく読んだのだけど、覚悟がいるのかもしれない。そういう意味では問題作なのか...な。

『ベルリンは晴れているか』 深緑 野分

 

ベルリンは晴れているか

ベルリンは晴れているか

  • 作者:深緑野分
  • 発売日: 2018/10/26
  • メディア: Kindle版
 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

戦争が終わった。
瓦礫の街で彼女の目に映る空は何色か。

ヒトラー亡き後、焦土と化したベルリンでひとりの男が死んだ 。孤独な少女の旅路の果てに明かされる真実とは...。

1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり――ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。

【感想】

初めての深緑作品は本屋大賞ノミネートされた『この本を盗む者は』でした。ファンタジーが色濃く描かれた作品と違い、本作はドイツの第二次世界大戦時代の歴史ミステリー。戦災孤児のドイツ人少女が体験するナチス政権の戦前から戦後を描き切った作品。
暴徒化による人権差別、虐殺など、戦争の歴史は過去に読んだ本を通して、残酷さ、悲惨さ、理不尽さに胸を痛めながら、繰り返してはならないと、実感のない恐怖を抱いてきました。この作品は、他作品と違い、心の支配をされた国民の死の判断の狂いに怖さを感じました。死が隣り合わせの世界で綺麗事では生き抜けない現実を通過した敗戦国の戦後。。更なる過酷な現実を目の当たりにする苦しみ。。正義、信念、迷い、後悔...。どこから間違っていたのか?最初から間違っていたのか?今も間違ったまままなのか...。国民の壮絶な意識や葛藤を、強く投げかけられ、深く心を抉ってきます。
主な物語は、少女の恩人の不審死を巡るミステリーです。過去(戦前から戦中)と現在(戦後)が絡み合い、ラストの思いがけない真相に繋がっていきます。引き込まれました。戦争で隠された闇も震撼させられます。
この一文が頭から離れない。
「いつから狂ってしまったんだろう。人の死を願うことを、死の引導を渡すことを、躊躇なく正しいと思うようになったのだろう。狂ってるのは世界の方じゃないのか?...もうわからない」
「ただの人」も狂わされ、弱者を追い込み、罪を抱えさせられる。。こんな恐怖は決して味わいたくないな。。とても読み応えのある作品でした。