みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『BUTTER』 柚木 麻子

 

BUTTER

BUTTER

  • 作者:柚木麻子
  • 発売日: 2017/06/30
  • メディア: Kindle版
 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

木嶋佳苗事件から8年。獄中から溶け出す女の欲望が、すべてを搦め捕っていく――。男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。

【感想】

なんてカロリーの高い物語なんだろうか。。

スタイルを維持するストイックな女性記者・里佳、里佳に憧れる親友・伶子。二人の友情が梶井真奈子との関わりにより大きく変えられていく。。梶井の容姿は決して美しいわけではないのに男性から貢がれ、愛され、女性としての自信に満ち溢れてる。拘置所の中でも輝きが失せない彼女の魅力は何なのか?里佳は梶井と面会を重ねるうちに梶井に薦められるレシピで手料理をし、指定されたお店で食事をし、食生活、スタイル、心情が徐々に変化し、梶井に心酔していく。そんな里佳に戸惑い、苛立ち、不安を抱える伶子。。人の心を暴く側が梶井に心を操られ、抉られていく。。女性として不足してるものは?女性らしさの正解は?生き方を見失ってしまった女性たちの複雑な心情にはヒリヒリさせられるが、傷ついても、ドン底に落ちても、環境を整えていく。やはり女性は強くてたくましいわ。

ところで、タイトルにもなってますが上質バターをたっぷり使った料理が出てきます。こってりとした濃厚な描写が、想像をかき立てられ、食欲が湧き立つ。読後にグラタンを作りました。バターましましで笑。エシレバター醤油ごはんが食べたい。

 

梶井真奈子のモデルでもある木嶋佳苗(本人は納得行かずに憤慨したようです)に関する書記の感想はコチラ↓

『毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記』 北原 みのり - みみの無趣味な故に・・・