みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記』   北原 みのり

 

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 (講談社文庫)

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 (講談社文庫)

 

 おすすめ ★☆☆☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

男達をセックスと嘘で騙し続け、練炭中毒で三人を殺したとして、二〇一二年死刑判決を受けた「平成の毒婦」木嶋佳苗。被告人席のナマ佳苗は、完璧な美肌と優しい美声で優雅なオーラを放った。高卒で上京、売春と結婚詐欺で得た金で「なりきりセレブ」を気取った魔性の女を、徹底的な女性目線で裸にする。

 

読むのに苦労した。でも最後まで読んだのは木嶋佳苗の個性が飽きさせないから。彼女の外見が魅力のない女性と頻繁に写真が飛び交っていたのを思い出しました。男性はその容姿でなぜ騙されたのか?と世間では騒がれたようだが、ひどい話。容姿のみに惹かれる男性もどうかと思うわ。男の女への価値(必要性)を利用しただけの女性と利用された男性の事件。浅い表面部分しかこの本からは感じ取れない。取材を念入りにしていたのであれば、もっと深い部分を書いてほしかった。裁判での木嶋佳苗のファッション、仕草、声、優雅さも興味深い点ではある。だけど被告人の奥底にある人間性をもっと知りたかった。被害者や被害者遺族の被告人に対しての感情があまり伝わらない。著者はそこはどうでもいいのかと思う程、木嶋佳苗に夢中のようだ。木嶋ガールズ達の章があったが、著者もその一人であろう。彼女に惹かれている部分が多々あるので、冷静に読みとる思いがあまりなくなってしまった。周囲の記者や弁護人の木嶋佳苗に対する反応を過剰に書いているが、それほど彼女が魅力的である事は十分わかった。だが、だから何?と思ってしまう。著者は木嶋佳苗に対する敵の立場(検事、裁判官、被害者の男性)に対して辛辣な描き方をしている部分がある。そこにこの本をつまらなくする要素がつまっているように感じられた。被告人の魅惑的な部分に男が翻弄されてしまう自業自得さがこの事件を生んだという内容ならワイドショーで話題にされた程度の本です。