みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『罪のあとさき』 畑野 智美

 

罪のあとさき (双葉文庫)

罪のあとさき (双葉文庫)

  • 作者:畑野 智美
  • 発売日: 2019/11/14
  • メディア: 文庫
 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

ある事情からカフェでアルバイトをしている楓は、中学時代の同級生・正雄と再会する。 正雄はカフェで使う家具を製作する工房で働いているのだが、かつて、同じ中学の同級生を殺害していた。 「連絡をください」という正雄に楓の気持ちは揺れる。
――楓が語る「現在」と、正雄が語る「過去」。それらが重なるとき、新たな世界が生まれる。 少年犯罪を通して描く、命と旅立ちの物語。

【感想】

楓が語る現在。再会した正雄はとても真面目で優しくて少し幼さを感じるが安心感のある人物。元彼から執拗なストーカー被害を受けた恐怖と辛い出来事を背負う楓は正雄に惹かれていく。

正雄が語る過去。家族関係に苦悩し、将来の不安を抱えながら、友情、初恋に思い巡らせる日々。。衝動(事件)まで、正雄の精神状態が心配になるほど、切ない。

 

少年犯罪加害者のその後。とても重いテーマですが、淡々として全体的に軽やかでした。ストーカー行為や暴力描写があるので、不快感はあります(わたしは心塞ぎ込んだので、女性は厳しいかもしれない)

 

現在部分(特にラストの部分)があっさりして残念。加害者家族の心情や楓がなぜ惹かれていくのかが少し曖昧。守るべき命への想いと覚悟など、もう少し掘り下げて欲しい部分が多かった。。殺意と実行。。実行するのはどんな事情でも美化する事でないなぁと思いましたが、2人の幸せは明るい未来であって欲しいと強く思います。