おすすめ ★★★★☆
【感想】
『サクリファイス』シリーズ第4弾。
3年前、敵チームにいたエース・ニコラと共にツール・ド・フランスに挑む白石誓(チカ)。かつてのチームメイトでもあり、ライバルでもある伊庭の登場に意識が高まる中、若い選手たちとの体力の差を感じ、動揺が広がるチカ。歳を重ねた分、不安も葛藤もあるけど、芯の強さ、精神力の強さ、まっすぐで正直で、チームのため、エースのために全力でアシストする姿が本作でも見られてうれしい。
今回も波乱の幕開け。
ドーピング発覚で堕ちた世界的英雄メネンコがツール・ド・フランスに復帰する。憧れの英雄からチカは思わぬ依頼をされる。チカのあるメンバーの動向を探るようにと。またまた不穏な展開に。。
このミステリーの部分にはあまり興味がそそらなかった。。3000kmの過酷なレースに挑む選手が巻き込まれていく厄介な案件が鬱陶しくもあり、後味もあまり良くない。
レースは面白い。昔の仲間と敵ではあるけど、一体感や安心感が広がるレース展開。
終盤の超級山岳ステージは力が入った。数秒の争い、気の抜けない選手たちの過酷さ、エースの優勝のためだけを一心に駆け抜けるチカ。。かっこいい。。チカの見える景色が苦しくて、美しくて、素晴らしい。。ステージ終了後の爽快感はなんとも言えない。。
ラストの一文に、、涙が流れました。
「ニコラの物語こそが、ぼくの物語だ。」