みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画、絵画鑑賞の感想を書いてます。

『活版印刷 三日月堂 雲の日記帳』 ほしお さなえ

 

活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)

活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)

 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

小さな活版印刷所「三日月堂」。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記韻や、言えなかった言葉。仕事を続ける中で、弓子が見つけた「自分の想い」と、「三日月堂の夢」とは―。感動の涙が止まらない、大人気シリーズ完結編!

【感想】

活版印刷三日月堂と川越の地域の人たちで紡がれる物語。ついに完結篇!前作で三日月堂の転機が訪れ、弓子の夢への飛躍を感じられる予感。ぜひ前作を読んでから読んでほしい。

前作の感想(『活版印刷 三日月堂 庭のアルバム』 ほしお さなえ - みみの無趣味な故に・・・

 

「星をつなぐ線」本町印刷埼玉支社(前作の「川の合流する場所で」に出てくる盛岡の印刷所本社の埼玉支社)はプラネタリウム星空館から創業当時に販売された星座早見盤の復刻版の作製依頼を受ける。木口木版という手法で活版印刷の時代に作られた星座早見盤。。後輩の悠生(←前作に登場)が三日月堂に通ってると聞き...。

 

「街の木の地図」メディア表現のゼミ生が3人のグループで行う春休み課題。今年の課題は川越の街を取材し、雑誌を作り、販売する。つぐみはゼミの中で最も苦手な二人、自信家の草壁くんと病弱で繊細な安西さんとグループにさせられ、憂鬱になる。草壁くんに振り回されながら、川越にある三日月堂で雑誌作りをすることに。二人の意外な一面を知り、つぐみの心は揺れ動く...。

 

「雲の日記帳」古書店浮草の店主・水上は毎月浮草だよりというリーフレットを出している。おすすめ本の紹介のあとがき「雲日記」に水上は雲の思い出を書き綴けていた。ある日、大学時代の文芸部仲間の岩倉が訪れる。小さな出版社を営む岩倉は浮草だよりの雲日記を読み、水上の本を作りたいと申し出る。。水上は過去の苦い記憶を思い出し、断るが...。

 

「三日月堂の夢」イワクラ出版の岩倉から水上の書いた「雲日記」の本を活版印刷で作りたいと依頼が来る。本を作る夢を持つ弓子は喜びもあるが、不安も。現実的に考えると不可能に近い。。人手が必要となる本作りに弓子に関わった人達が協力して一冊の本を作る...。

 

今作はまさに集大成。

それぞれ立場が違う人々が人生の岐路に立ち、もがき、悩み、迷う。。悩み迷える人たちが三日月堂に訪れ、活字を通して、言葉に触れ、人と繋がり、自分と向き合い、前進していく姿が清々しい。天涯孤独だった店主・月野弓子の元に川越の地域の温かい人たちが集まり、かつての三日月堂の活気に戻った時の弓子の感慨深さにわたしも心躍り、静かに感動が押し寄せてきた。

人の想いは儚い。言葉という形で残していく事で心が繋がれていく。。

「言葉にも根っこがあるのかもしれない。」

木のように目に見える部分だけではなく、土の中にも広がりがあり、根っこと出会い、からまりあっていく。。聞いた言葉の意味は見える部分だけではない。どんな真意が隠されているのか...深いなぁ。

「水は地球を巡る。雨や雪となり、地上に流れ、海になり、雲になる。生き物の身体も水でできてる。人が生きるのは、雲になる練習のようなものかもしれない」

儚い一生のうちに、どれだけ何かに熱く打ち込める事ができるのだろうか?身体を喪ってもわたしだった魂のかけらが世界のどこかに残ってるのは、とても幸せだろうなぁと温かい気持ちが広がってきます。

三日月堂の「過去」と「未来」の番外編もあります。まだまだ楽しみだぁ〜(((o(*゚▽゚*)o)))...の前に第一弾を再読しちゃう。完結篇に懐かしい人々が登場したので、読みたくなっちゃう。

『活版印刷三日月堂』 ほしお さなえ - みみの無趣味な故に・・・