みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画、絵画鑑賞の感想を書いてます。

『活版印刷三日月堂 星たちの栞』 ほしお さなえ

 

([ほ]4-1)活版印刷三日月堂 (ポプラ文庫)

([ほ]4-1)活版印刷三日月堂 (ポプラ文庫)

  • 作者:ほしお さなえ
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2016/06/03
  • メディア: 文庫
 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

川越の街の片隅に佇む印刷所・三日月堂。店主が亡くなり、長らく空き家になっていた三日月堂だが、店主の孫娘・弓子が川越に帰ってきたことで営業を再開する。三日月堂が営むのは昔ながらの活版印刷。活字を拾い、依頼に応じて一枚一枚手作業で言葉を印刷する。そんな三日月堂には色んな悩みを抱えたお客が訪れ、活字と言葉の温かみによって心が解きほぐされていくのだが、弓子もどうやら事情を抱えているようで――。

【感想】

三日月堂の店主・弓子の元に訪れる人々が活版印刷に触れ、心解されていく連作短編集。

 

「世界は森」夫を亡くし、女手一つで一人息子を育てるハル。息子・森太郎が北海道大学に合格し、春から離れ離れになる息子に卒業祝いを送りたい。空き家だった三日月堂に灯りが...。

 

「八月のコースター」街外れに佇む珈琲店「桐一葉」亡き伯父の喫茶店を受け継いだ岡野。伯父の店という重圧を抱え、自分は誰かの代理に過ぎないと悩む。ハルさんから、ショップカードを作ってみたら?と提案され、三日月堂を紹介される...。

 

「星たちの栞」鈴懸学園文芸部顧問・遠田先生は珈琲店「桐一葉」の俳句入りコースターに心奪われる。文芸部の生徒たちと三日月堂に見学をし、学園祭で活版印刷のワークショップをすることに...。

 

「ひとつだけの活字」結婚を控える雪乃。結婚に踏み込めなかった背中を押してくれた祖母から、活字屋を営む曽祖父が遺したひらがなの活字セットを受け継ぐ。三日月堂の弓子と出会い、活字の世界に魅了されていく...。

 

大切な人へ伝えたい気持ちを活字で届ける。その想いをどう伝えればよいのか?息子と離れ離れになる寂しさに苦しむ母。自分の存在、個性に悩むマスター。友の才能を羨み、妬み、自信を無くす女子高生と顧問教師。今の環境から離れる勇気が持てない花嫁。

それぞれの悩みを聞き入れ、真摯に受け止める弓子が膨大な活字の数から、「活字を拾う」。。この言葉を読むたびに、わたしの心も解される気がするからとても不思議。。

弓子も不安を抱えながら、依頼主と共に悩み、学び、救われ、少し頑なだった心が軽くなっていく様子もまたいい。。

活版印刷についても多く学べます。白紙に文字が刷られる深い味わいを想像しただけで、文字の温かみがじんわり心に刻まれていく。疲れた時に読むといいと思う。なかなか興味深い世界です。