みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画、絵画鑑賞の感想を書いてます。

『永遠の曠野 芙蓉千里Ⅲ』 須賀 しのぶ

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

第1次世界大戦の余波がつづく激動の時代。大陸はいまだ揺れに揺れていた。舞姫の地位を捨て胡子(馬賊)となったフミは、一味の頭領である楊建明のモンゴル独立にかける思いを知り、改めて、どこまでも彼についてゆく覚悟を決める。しかし建明の決意の奥底に、彼の亡き妻サラントヤの影を見てしまい…。しなやかにそして強かに、ひとつの時代を駆け抜けたフミが、最後にその手を掴んだものとは?

【感想】

シリーズ完結編。前作の感想はコチラ→『北の舞姫 芙蓉千里Ⅱ』 須賀 しのぶ - みみの無趣味な故に・・・

女衒に売られて、日本から中国大陸へやってきた辻芸人あがりのフミ。大陸一の女郎になる!と哈爾濱の遊郭で下働きを必死にし、女郎ではなく芸妓の道を選び、舞の修行に励み、浦塩で神降臨の舞を踊り、ついに伝説へ。。次は....馬賊に転身。。モンゴルの地を、最速の愛馬と共に颯爽と駆け抜ける...奇想天外な展開。。波乱に満ちた人生を選び、身一つで飛び込むのは、いかにもフミらしい。幸せをたくさん掴める環境に置かれながら、あえて苦境の道を辿るフミの強さには憧れる。何かを得ては、全てを失い、どん底まで堕ち、這い上がると、さらなる輝きを得る。。自分を支援し、愛してくれる黒谷、全てを失っても惹かれてしまう山村、ぶつかり合いながらも共鳴し合う馬賊の男たち。フミの心はかき乱されるが、自分の信じる道を生きる姿に誰もが惚れ込むのもわかる気がする。。女性として羨ましさは大いにあるけど、踏み込む勇気はない。。この捨て身の輝きがフミの最大の魅力だと思う。

ロシア、シベリア、モンゴルの覇権争いに絡む日本、中国などの戦略や歴史部分は困難でした(須賀さんの歴史はすごいね)。。民族や国の為に争う人々。「血と地で育まれた本質は変わらない」という言葉。故郷への思い、信念が強いあまり、争いは絶えず、無駄な血が流れる。。人間は血と地だけでつくられるものではない」と自由を求め続ける山村も素敵だった。最後までかっこよかった。

「何かを成し遂げようとするのなら、最後の瞬間まで月のように冷静でなければならない、理性と正確な情報が伴わない正義は、ただの暴力で終わる」
...身に沁みる。

大自然を駆け巡る雄大さ、疾走感は、このシリーズを物語っています。ラストの落ち着き方、収まり感には少し拍子抜けしましたが、スケールの大きさに圧巻でした❣️