みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『太陽の坐る場所』  辻村 深月

 

太陽の坐る場所 (文春文庫)

太陽の坐る場所 (文春文庫)

 

 おすすめ ★☆☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

高校卒業から十年。元同級生たちの話題は、人気女優となったキョウコのこと。クラス会に欠席を続ける彼女を呼び出そうと、それぞれの思惑を胸に画策する男女たちだが、一人また一人と連絡を絶ってゆく。あの頃の出来事が原因なのか…?教室内の悪意や痛み、十年後の葛藤、挫折そして希望を鮮やかに描く。

 

元同級生が次の同窓会に女優になったキョウコを出席させたいと策を練って盛り上がる。この主要人物達がひねくれ者の見栄っ張りばかり。それぞれの思惑があるようだが、とにかくキョウコに会いたい。高校時代、何かとても罪深い事をこの人たちはしたらしい。私が感じたのは章を追うごとにコンプレックスの多い人だなぁということと、友達でいたら迷惑極まりない人だなぁということ。人間関係を断つほどの事でもない擦れ擦れラインで嫌な人ってどこにでもいるのだが、まさにこの人たちはその擦れ擦れラインの人達である。

それと一番の謎である高校時代のキョウコという人物像と彼女を取り巻く人達が行ったある出来事が明らかになっていく。トリックもある程度わかってしまうと“同窓会あるある話”だったわけだと苦笑してしまう。とはいえ、学生時代を思い起こせば小さな世界ではあったが、それが全世界でもあった。小さな事と思うのは大人になってからで当時は大事件なのである。それを笑って話せるようになるには、時間と余裕が必要なんだなと思いました。