おすすめ ★★★★★
何事も成功する時を男時(おどき)、めぐりあわせの悪い時を女時(めどき)というらしい。この本は短編集と著者のエッセイとニ部構成になっている。
短編集は男女の日常、些細な出来事を描いている。それだけなのに引き込まれ、感傷に浸ってしまう。愚かさ、見栄、うぬぼれ、思い上がりなどなど少し嫌な気分にさせる程度の男女の描き方は秀才ではないかと思う。
私は短編集よりエッセイが面白く、読み返すため、持ち歩く時もある。向田邦子本人を私は全く知らないが、エッセイをたまにみると率直で好き。一つ一つの言葉が素直に私の一部になっていくような、そんな風に私に入っていく。こんな素晴らしい作家に巡りあえるのはあまりいないと今の所思っているのです。