みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『向田邦子の青春』 向田 和子

 

向田邦子の青春―写真とエッセイで綴る姉の素顔 (文春文庫)

向田邦子の青春―写真とエッセイで綴る姉の素顔 (文春文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

向田邦子さんの妹・和子さんが写真とエッセイで綴る姉の素顔。
向田邦子さんの人柄、ファッション、仕事、遊び、生き方が煌めいて、かっこいい。。「自分を大切にする」事への情熱が伺える。。好奇心旺盛で好きな事へは徹底的に極める。。相手への思いやり、見守る姿勢、欠点も愛すべきところなど、、見習うべき点が多々ある。。人も物も「好きと嫌い」を見極めてるところも好き。。妹や家族といる向田邦子さんの素顔は責任感が強い長女でもあり、おっちょこちょいな一面も見え父を激怒させる笑、、とても素敵な女性。
9歳上の姉への尊敬、影響力、憧れという気持ちが手に取るようにわかる。わたしも向田邦子さんの大ファンなので、彼女の言葉の影響力がわたしの生き方にも反映している。なかなか難しいけど、、指針にはなる。。

彼女のエッセイは何度も読み返してます。。人間観察、客観視に長け、日常、友人たちとの交流、家族の話をユーモアを交え、感性豊かに、鋭くて、とても優しく温かい。。

和子さんの本を読んで、家族に向ける向田さんの言葉、本音を知り、お気に入りのエッセイをいくつか読み返す。。この本のおかげで、また違う感じ方ができた😌うれしい。

 

わたしのお気に入りのひとつを和子さんもあげていました↓

『夜中の薔薇』「手袋をさがす」
22歳の時、気に入った手袋が見つからず、ひと冬、手袋なしで過ごした向田さん。。46歳の時にあの頃の自分の事を書いている。

「自分の気性から考えて、あのとき、二十二歳のあの晩、かりそめに妥協していたら、やはりその私は自分の生き方に不平不満をもったのではないか。
いまの私にも不満はあります。年と共に、用心深くずるくなっている自分への腹立ち。
心ははやっても体のついてゆかない苛立ち。音楽も学びたい、語学もおぼえたい、とお題目をとなえながら、地道な努力をしない怠けものの自分に対する軽蔑。そして貧しい才能のひけ目。
でもたったひとつ私の財産といえるのは、いまだに「手袋をさがしている」ということなのです。」

「手袋」を探し続けて、手に入れても、まだまだ満たされず、また探し始める。。向田さんの人生。
改めて、早すぎる死が悔やまれます。。