みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『星々の舟』 村山 由佳

 

星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

 

 おすすめ ★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄、そして父は戦争の傷痕を抱いて―愛とは、家族とはなにか。こころふるえる感動の物語。

 

次男、次女、長女、長男、長男の娘、父のそれぞれの章で話が進められていく。次男と長女の悲恋の為に家族がそれぞれ負い目を感じ、生きにくい生活を送る。特に長女の章はあまりにも過酷。小さい頃に受けた性的虐待に悩み、その後レイプを受け、傷つく。なんて辛い過去だと思ったが心身傷ついている時に兄と関係を持つ事ができるのだろうか?あまり無防備な長女に同情できなかった。

次女(末っ子)が小さい頃から家族達に明るく接してその場を和ませる事に徹底する。気持ちがすごくわかる。一番下は大人達が何かを隠している事を知りたいが、あまり深く入ってはいけないアンテナが立ち、自分がピエロになるしかない。私も末っ子だからわかる。でも自分が家族の中であまり重要な要素もない事に気づき、怒りを覚える。これもものすごくわかる。

それぞれの悩み、後悔、葛藤はあまりにも重いので、すぐに解決されない問題だが、ラストはいつか家族が笑って過ごせる日がくるのではないだろうか。と思わせる終わり方だった。