みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『コタローは一人暮らし4』 津村 マミ

 

コタローは1人暮らし (4) (ビッグコミックス)

コタローは1人暮らし (4) (ビッグコミックス)

 

おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

ますます冴え渡る!4歳児1人暮らしライフ

4歳にして卓越した生活力を持つコタローは
今日も一人たくましく生きている。
でも・・・ふと寂しい瞬間もある。
そんなコタローを優しく見守るのが
同じ「アパートの清水」に住むちょっとダメな大人たち。
彼らとコタローの支え合う日々が紡ぎ出す
悲喜交々のアパートメントコメディー!!

 

【感想】

とても切ないお話が続き、胸痛む。

デパートの最後の放送には、、なんとなく明るい未来が見えてきそうな予感を思わせる。。

テーマが育児放棄、DVなど、とても重い。。確かにコメディなんだけど、、健気さと強さに胸打たれまくりなのです。。

コタローくんの行動ひとつひとつが尊い。。周囲のコタローくんへのさりげない愛情も尊い。。今回も泣かされました。

 

『犯罪者 下』 太田 愛

 

犯罪者 下 (角川文庫)

犯罪者 下 (角川文庫)

 

おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

修司と相馬、鑓水の3人は通り魔事件の裏に、巨大企業・タイタスと与党の重鎮政治家の存在を掴む。そこに浮かび上がる乳幼児の奇病。暗殺者の手が迫る中、3人は幾重にも絡んだ謎を解き、ついに事件の核心を握る人物「佐々木邦夫」にたどり着く。乳幼児たちの人生を破壊し、通り魔事件を起こした真の犯罪者は誰なのか。佐々木邦夫が企てた周到な犯罪と、その驚くべき目的を知った時、3人は一発逆転の賭けに打って出る。

 

【感想】(注:ネタバレ、思いっきりします)

上巻(『犯罪者 上』参照)で真崎に裏切られたと知る中迫は相馬、修司、鑓水と組み、離乳食のサンプルから検出された起炎菌と乳幼児の奇病「メルトフェイス症候群」の因果関係を立証し、世間に公表する計画を水面下で進行する。。大企業と政治家の癒着問題も絡み、「メルトフェイス症候群」が注目され、国を震撼させるパニックを引き起こす。。真崎が仕掛けた計画の真意。プロの殺し屋との攻防戦。。メディアを巻き込み、命がけで闘う修司たちの思いは、、「メルトフェイス症候群」で苦しむ母子たちの将来と生き抜く力の支えになりたいという一心のみ。。下巻では真相が徐々に明らかになるが、二転三転となり、、結末がただただ気になり、ページを捲る。。手に汗握るスリルとスピード感がすごかった。。人間の描き方。。すばらしい。。政治家の秘書・服部の人間性には驚かされます。。彼の鋭い洞察力と無関心のギャップ...。洞察力と判断力が修司たちの先を読み、妨害していく中、自分の保身も守る機転の良さ。。敵にしたくないタイプ。。最後まで彼が母子に目を向かなかったこと。。奇病への無関心さが母子の生活に余計な恐怖が加わらなかったのだと、、なぜかホッとしてしまいました。。それにしても大物の悪人はこんな大事件の渦中に立たされても、、自分を守る術に長けてること(...やぁね)。。内容もですが、人間の細かい描写がすばらしかった。。何度も何度も胸が詰まる思いでしたが、、なんとも読み応えのある本だったなぁ。。『幻夏』も楽しみです。。😊📚🎶

 

『犯罪者 上』 太田 愛

 

犯罪者 上 (角川文庫)

犯罪者 上 (角川文庫)

 

おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。犯人は逮捕されたが、ただひとり助かった青年・修司は搬送先の病院で奇妙な男から「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」と警告される。その直後、謎の暗殺者に襲撃される修司。なぜ自分は10日以内に殺されなければならないのか。はみだし刑事・相馬によって命を救われた修司は、相馬の友人で博覧強記の男・鑓水と3人で、暗殺者に追われながら事件の真相を追う。

 

【感想】(注:ネタバレ、思いっきりします)

何の接点もない五人の無差別殺傷事件。。生き残った修司の存在が、ある計画の切り札に。。最初から謎が多い。。通り魔事件の犯人はすぐ逮捕されるけど、、本物?。。警告した男は誰?その意図は?。。五人が狙われた理由は?。。10日後の四月四日に何が起きるの?。。はみ出し者の刑事・相馬、犯罪スレスレ?なフリーライター・鑓水。前科のある建設作業員・修司。。五人の被害者の共通点を探す三人。。一方、修司に警告をした男・中迫は自社製品の離乳食のサンプルから「メルトフェイス症候群」(乳幼児の顔面半分が壊死をしてしまう疾患)を引き起こす起炎菌が検出された事の重責に苦しむ。。不祥事を隠蔽することに躍起となる企業を相手に産廃業者・真崎と奇病とサンプルの因果関係を立証し、公表をするために奮闘する。。原因不明の難病の子を背負いながら世間、社会との壮絶な闘いをする母に胸が詰まる思いでした。。群衆の悪意、冷酷さを目の当たりにし、絶望感に打ちひしがれる母・山科。完治の希望はなく、心中を図ろうとするも勇気がない母の苦しみ。。可愛かった我が子の突然の異変の戸惑い、不安、悲しみ、自己を責める気持ち、痛切な思いでした。

上巻で一つの計画が明かされる。。その計画と修司たちの運命がどう繋がっていくのか、、下巻が楽しみです。(『犯罪者 下』参照

 

『永遠。』 村山 由佳

 

永遠。 (講談社文庫)

永遠。 (講談社文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

 

【内容紹介】

生きることに無器用なひとなのね、それが私にはいとしかった――葉月さんは亡くなる前、娘の弥生と幼なじみの僕に話してくれた。かつて別れた恋人のことを。弥生はその男の向かいの部屋に住み、彼の講義を聴きに短大に通った。「お父さん」と、一度も告げられずに。卒業式の日、僕は弥生の帰りを待つ――。

 

【感想】

ずいぶん前に読んだ作品。読んでいくうちに懐かしさがこみ上げてくる。。

短い物語の中で、切なさがぎゅっと詰め込まれて、親子の繋がりや幼なじみの二人の淡い関係が、、村山ワールド全開で良かったぁ。

 

村山さんのあとがきで、『星々の舟』の出版が遅れた骨折事件が書かれてた。。面白かった(*≧∀≦*)。。。と言っていいのかな?笑。

あと思い出したのが、この本は内山理名主演『卒業』という映画のコラボ本。。夏川結衣さん(弥生の父の現在の恋人役)が好きで観た事があるの。。でも、この映画の内容は全く覚えてなかった( ̄▽ ̄*) ・・・ァハハ

『真白の恋』

 

真白の恋[DVD]

真白の恋[DVD]

 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

渋谷真白は、生まれてからこれまで、家族と共に富山で暮らしている。
見た目にはそれとわからないが、真白には、ごく軽度の知的障がいがある。
日常生活に支障はなく、現在は父の営む自転車店の店番をしたり、飼い犬の世話をしたりと、元気に暮らしている。
ある日、兄の結婚式で神社を訪れた真白は、 東京からやって来たフリーカメラマン、油井景一に出会う。
真白の、生まれて初めての恋。 応援する人、心配する家族。 その中で真白は何を感じ、どう成長していくのか…。
自然豊かな富山に暮らす、ひとつの家族の、「優しさ」と「葛藤」を描く。

 

【感想】

渋谷真白...初めて恋をする。
真白の恋を応援する人。心配する人。
普通じゃない。。そう扱われてきた真白。

 

「どうやったら、普通になれるの?」

 

人を好きになって、喜びと苦しみを知る真白は、、可愛い普通の女の子でした。ほんとに可愛い。。泣けてくるくらい可愛い。

 

真白が自分の事を好きな人に「気持ち悪い?」と聞いてしまう所。自分の中では既に「普通」だけど、周りが持つ「普通じゃない」基準に、漠然と不安にもなる。。そんな気持ちが好きな人にこんな質問をしてしまう。変な自分が嫌われるのでは。。切ないなぁ。。恋をすると誰でも起きる。。普通に真白は恋をしてる。。束縛する家族も、、それぞれ苦しんでる。。家族の葛藤と真白への優しさがとてもよく描かれてます。。

 

ピュアな真白の心が映し出されたような富山の綺麗な自然な景色。。優しさの染み込んだ映画でした。



『天上の飲み物』 三浦 しをん

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容】
後藤次郎は酒屋の二階に下宿する大学生21歳。実は世を忍ぶ仮の姿であり、400年以上生きている不老不死の吸血鬼。。人間に恋をしても報われない恋に一人傷つくが、何度も恋をしてしまう。。ワインの魅力に取り憑かれ、お気に入りの日本のワインと近所に住む恋人の宮村有美とのひとときを楽しみとして生きる。。決して打ち明けられない秘密を抱える次郎の、ユーモラスでちょっとせつない恋物語

 

【感想】
吸血鬼の悩みに比べたら、人間の悩みはくだらない?人間の女性に恋をしてしまう吸血鬼の悩みは尽きない。。

「終わりがあるからこそ美しい。」

 

20分程度で読めるとっても短いお話でした。

『ぬけまいる』 朝井 まかて

 

ぬけまいる (講談社文庫)

ぬけまいる (講談社文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

一膳飯屋の娘・お以乃。御家人の妻・お志花。小間物屋の女主人・お蝶。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、界隈で知らぬ者の無かった江戸娘三人組も早や三十路前。それぞれに事情と鬱屈を抱えた三人は、突如、仕事も家庭も放り出し、お伊勢詣りに繰り出した。てんやわんやの、まかて版東海道中膝栗毛!

 

【感想】

若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、もてはやされた江戸娘三人組。家業を手伝いながら、地に足がつかないお以乃。傾きかけた生家のお店を立て直し、商売に成功したお蝶。浪人の家で育ち、御家人の家に嫁いだ専業主婦のお志花。。幼い頃から仲良し三人娘、三十路前となり、それぞれが鬱屈した今の生活に嫌気をさし、仕事も家庭も放り出し、お伊勢参りに繰り出す。。

着の身着のまま飛び出した三人娘。春から秋にかけての旅の最中は喧嘩はするし、騙されもするし、人の優しさにも触れるし、、恋もする。。この三人の良い所はお互いの踏み込む領域を心がけ、相手の心情を常に思いやり、見守りながら応援をする粋な女性たちであること。。三人娘は性格も境遇も違う。。誰かにどこか共感できるんじゃないかなぁ。。わたしはお志花の妻としての役割と母親としての辛い気持ちに心痛みながら共感をしました。。剣術に長け、強さも兼ね備え、真面目で冷静で二人のお姉さんのような存在。。お志花が家庭を捨ててまで旅に出た人に言えぬ悩みを二人が察して、寄り添う気持ち。。言いたい放題な関係だけど結びつきの強さに、、女友達っていいなぁと思えます。。女性はたくましい。。情もある。。冷たさもある。。弱さもある。。ハメも外したくなる。。てんやわんやな珍道中でもたくさんの得るものをちゃんと掴む、かっこいい女性たちの爽快なお話でした😊📖⤴️