みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『犯罪者 上』 太田 愛

 

犯罪者 上 (角川文庫)

犯罪者 上 (角川文庫)

 

おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。犯人は逮捕されたが、ただひとり助かった青年・修司は搬送先の病院で奇妙な男から「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」と警告される。その直後、謎の暗殺者に襲撃される修司。なぜ自分は10日以内に殺されなければならないのか。はみだし刑事・相馬によって命を救われた修司は、相馬の友人で博覧強記の男・鑓水と3人で、暗殺者に追われながら事件の真相を追う。

 

【感想】(注:ネタバレ、思いっきりします)

何の接点もない五人の無差別殺傷事件。。生き残った修司の存在が、ある計画の切り札に。。最初から謎が多い。。通り魔事件の犯人はすぐ逮捕されるけど、、本物?。。警告した男は誰?その意図は?。。五人が狙われた理由は?。。10日後の四月四日に何が起きるの?。。はみ出し者の刑事・相馬、犯罪スレスレ?なフリーライター・鑓水。前科のある建設作業員・修司。。五人の被害者の共通点を探す三人。。一方、修司に警告をした男・中迫は自社製品の離乳食のサンプルから「メルトフェイス症候群」(乳幼児の顔面半分が壊死をしてしまう疾患)を引き起こす起炎菌が検出された事の重責に苦しむ。。不祥事を隠蔽することに躍起となる企業を相手に産廃業者・真崎と奇病とサンプルの因果関係を立証し、公表をするために奮闘する。。原因不明の難病の子を背負いながら世間、社会との壮絶な闘いをする母に胸が詰まる思いでした。。群衆の悪意、冷酷さを目の当たりにし、絶望感に打ちひしがれる母・山科。完治の希望はなく、心中を図ろうとするも勇気がない母の苦しみ。。可愛かった我が子の突然の異変の戸惑い、不安、悲しみ、自己を責める気持ち、痛切な思いでした。

上巻で一つの計画が明かされる。。その計画と修司たちの運命がどう繋がっていくのか、、下巻が楽しみです。(『犯罪者 下』参照