みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『犯罪者 下』 太田 愛

 

犯罪者 下 (角川文庫)

犯罪者 下 (角川文庫)

 

おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

修司と相馬、鑓水の3人は通り魔事件の裏に、巨大企業・タイタスと与党の重鎮政治家の存在を掴む。そこに浮かび上がる乳幼児の奇病。暗殺者の手が迫る中、3人は幾重にも絡んだ謎を解き、ついに事件の核心を握る人物「佐々木邦夫」にたどり着く。乳幼児たちの人生を破壊し、通り魔事件を起こした真の犯罪者は誰なのか。佐々木邦夫が企てた周到な犯罪と、その驚くべき目的を知った時、3人は一発逆転の賭けに打って出る。

 

【感想】(注:ネタバレ、思いっきりします)

上巻(『犯罪者 上』参照)で真崎に裏切られたと知る中迫は相馬、修司、鑓水と組み、離乳食のサンプルから検出された起炎菌と乳幼児の奇病「メルトフェイス症候群」の因果関係を立証し、世間に公表する計画を水面下で進行する。。大企業と政治家の癒着問題も絡み、「メルトフェイス症候群」が注目され、国を震撼させるパニックを引き起こす。。真崎が仕掛けた計画の真意。プロの殺し屋との攻防戦。。メディアを巻き込み、命がけで闘う修司たちの思いは、、「メルトフェイス症候群」で苦しむ母子たちの将来と生き抜く力の支えになりたいという一心のみ。。下巻では真相が徐々に明らかになるが、二転三転となり、、結末がただただ気になり、ページを捲る。。手に汗握るスリルとスピード感がすごかった。。人間の描き方。。すばらしい。。政治家の秘書・服部の人間性には驚かされます。。彼の鋭い洞察力と無関心のギャップ...。洞察力と判断力が修司たちの先を読み、妨害していく中、自分の保身も守る機転の良さ。。敵にしたくないタイプ。。最後まで彼が母子に目を向かなかったこと。。奇病への無関心さが母子の生活に余計な恐怖が加わらなかったのだと、、なぜかホッとしてしまいました。。それにしても大物の悪人はこんな大事件の渦中に立たされても、、自分を守る術に長けてること(...やぁね)。。内容もですが、人間の細かい描写がすばらしかった。。何度も何度も胸が詰まる思いでしたが、、なんとも読み応えのある本だったなぁ。。『幻夏』も楽しみです。。😊📚🎶