みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『イラストで読む印象派の画家たち』 杉全 美帆子

 

イラストで読む 印象派の画家たち

イラストで読む 印象派の画家たち

 

 おすすめ ★☆

内容(「BOOK」データベースより)

モネ、マネ、ルノワールセザンヌシスレーピサロ、モリゾ、ドガ、ゴッホゴーギャン、スーラ…芸術家たちの生き生きとしたエピソードと作品が満載。“印象派がわかる”待望の一冊。

 

印象派が美術の世界で認められるまでの流れが、、マンガで描かれ、、わかりやすく面白かったです。モネの『印象、日の出』が誹謗中傷(描きかけの壁紙以下って。。つらいね)の中、、サロンに出品していく画家から「強い印象を受ける。印象がたっぷり入ってる」、、と絶賛されていく。。笑。

印象派の画家たちの年表、性格、名画、エピソード、人間模様(仲良しだったり、、喧嘩したり、、仲裁したり、、忙しそうだけど、、すごく仲良しなんです)が可愛いイラストで説明されてます。

美術評論家ルイ・ルロワさんが名画商のポールデュランさんとテオさん(ゴッホの弟)の本音に迫る!インタビューも掲載されてます。。(架空インタビューです笑)

名画を遺した画家たち、、苦悩し、追求し、病に倒れても、、描く。。それぞれ個性豊かな性格で一筋縄ではいかない面々、、でもみんな絵に対する才能、情熱、誇りはすごい。

どんなにお金持ちになっても、、貧乏な日々を振り返り「あんなに幸福だった時はなかった」と語っています。。🎨🏒🖼

最後に「あなたは誰タイプ?」という診断テストがありました。
わたしは「ピサロ」タイプでした。。

『あなたに褒められたくて』 高倉 健

 

あなたに褒められたくて (集英社文庫)

あなたに褒められたくて (集英社文庫)

 

 おすすめ ★☆

内容紹介

いつも危険な撮影を心配してくれた母、ロケで5カ月も過ごした酷寒の大地…。男が生きてきた、忘れることのできない時間と場所、忘れ得ぬ人びと。そんな心にかかる男の想いを語ったエッセイ。

 

健さんの映画、、あまり観てないです。。
幸福の黄色いハンカチ』『野性の証明』『南極物語』『ブラックレイン』『あなたへ』だけ。。

健さんって、、
映画俳優になりたくてなったわけではなく、、
イタズラ好きで(結構ハードないたずら)、、人間好きで、、女性好きで、、何事も長続きしなくて、、気が多く、、短気。笑
愛されるね。。こんな人。。

30年通い続けた「善光寺詣り」。。お礼と反省をする中、、頼みごとをしないつもりが、、その時々、、一番気になってる人へのご加護を祈ってしまう。。「結局頼みごとをしてる」と反省をしている。。

「お心入れ」。。お客様へのおもてなし。。健さんの細かい気づきに、、とても温かみを感じた。。もてなす側ももてなされる側も言葉に出さずとも、、気遣いをする。。高級料亭のお料理の説明を受けると「聞いてねぇよ」と心で舌打ちしてる。。笑。何も言わなくてもわかる。。これが日本の文化だと言ってます。。(カタログの商品詳細にも出し過ぎと不満を言ってたけど、、消費者側には説明があった方が良いような、、、健さんに意見を言うつもりではないですが、、、)

一期一会。。

世界各地の文化や人との心のふれあい。。映画の偉大さ。。自身の影響力に触れ、、感謝をし、大切に真摯に受け取り、、愛する人ほど傷つけてしまう心に傷みを覚え弱気な一面を見せ、、素朴を愛する健さんに心温まる想いでした。。

最後のお母様への想い。。「あなたに褒められたくて」
母親目線で、映画を観る母に(後ろから斬るなんて卑怯な、、寒い地にいる息子に涙など)苦笑しながらも、、深い愛情に溢れていた事。。ただただあなたに褒められたいだけ。。。涙が止まりませんでした。。

『4TEEN』石田 衣良

 

4TEEN (新潮文庫)

4TEEN (新潮文庫)

 

 おすすめ ★☆☆☆

内容紹介

東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない――。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。

 

中学生の中でも特殊型?の男子グループ4人の友情物語。。ウェルナー症候群という難病を患うナオト。。秀才のジュン。。胸が揺れるくらいの巨体のダイ。。語り手は普通の中学生テツロー。。
男の子の頭の中は純粋で友達のために奮闘する(入院してるナオトくんへの誕生日プレゼント🎀には、、驚いた💦)、仲間がいると最強の気分になるのね。。女の子の事、、すごく好きなのね。。空も飛べると思うのね。。などなど、、14歳〜15歳の男の子の事が、、少しわかりました。。(わたし、、女だからかなぁ。。よくわからない事も、、多少あった)


登場する女性陣が気になりました。。
売春、拒食、DV、妊娠、みんなの前で告白をしたいずみちゃんの自己犠牲(そこを上回る自己犠牲をしたカズヤくんは素敵でした。。)
男の子たちよりナーバスな人ばかり。。

『GO』 金城 一紀

 

GO

GO

 

 おすすめ ★☆

内容(「BOOK」データベースより)

広い世界を見るんだ―。僕は“在日朝鮮人”から“在日韓国人”に国籍を変え、民族学校ではなく都内の男子高に入学した。小さな円から脱け出て、『広い世界』へと飛び込む選択をしたのだ。でも、それはなかなか厳しい選択でもあったのだが。ある日、友人の誕生パーティーで一人の女の子と出会った。彼女はとても可愛かった―。感動の青春恋愛小説

 

思ったより、、重かった。。。 本の説明では「軽快なテンポとさわやかな筆致」と書いてあるが、、国籍問題。。。重いテーマでした。

北朝鮮、韓国、日本。。アジアの国のお互いの意識が、、ひしひしと感じられる。。

朝鮮籍から韓国籍を取得した主人公。
日本の中で差別を受ける事に慣れつつも、、苛立ちをぶつけながら、、荒れる中学時代。。

僕は何者?狭い所に押し込まれたくない。。広い世界を見たい。。と朝鮮学校から日本の高校へ入学。。世界は特に変わらない中、、日本人の可愛い女の子に出会い、、恋をする。。恋愛、友情を通して人類のルーツ、国名、文化、教育、、、差別。。彼の取り巻く環境を見つめ直しながら、、もがく青春恋愛小説。。

 

余談ですが・・・

差別。。自覚はないけど、、小さな差別は無意識にしているのかもしれない。。外国人の保護者が学校のPTAを率先してやりたい(親睦を深めたい理由)と言ってくれているのに、、役員本部さんの都合(説明しにくい等)で辞退をお願いする事がある。。外国に住む日本人も同じ事をされ、、悲しんでいた。。今は少しは国際化されて来たかもしれないけど、、現実社会の国差別化は、、まだまだ根深さがあるのであろうと。。。考えてしまいました。。。読んでよかった。

『カラフル』 森 絵都

 

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

 

 おすすめ ★☆

内容(「BOOK」データベースより)

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。

 

娘が区から中学入学のお祝いに好きな本を1冊プレゼント。。という事で、、選んだ本。。(理由は表紙が可愛い。。笑)お先に読ませてもらいました。。

登場人物。。。主人公・前世でひどい罪を犯した魂。。再挑戦を与えガイドを務める天使プラプラ。。自殺をした男の子・小林真。。ホームステイ先の小林家(父母、兄)。。真の初恋の子・ひろか。。変化した真を疑い続ける同級生・唱子。。唯一の友達・早乙女くん(とても良い友)

命の価値は、、どんな苦しみ悲しみなどの負の要素を全てを清算してもあまりあるもの。。。人間には色んなカラーを持ち備えてる。。綺麗な色、、シンプルな色、、汚い色。。。だからこそ、、生きる価値があるわけね。。考え方ひとつで、見え方が変わる。。だから悲観することじゃないと、、教えてくれる本でした。。

 

『最後の命』 中村 文則

 

 

最後の命 (講談社文庫)

最後の命 (講談社文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で一人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される指紋。それは「指名手配中の容疑者」である。冴木のものだと告げられ―。


ホームレスたちに輪姦される女性を助けられなかった中学生だった主人公(私)と親友の冴木。。後に被害者女性が殺された事を知り。 「私」は命の価値、性の衝動への恐怖、不安、罪の意識に思い悩み、死と同化、対面する行為に惹かれ始める。 一方冴木は、性の歪みから、スリルを求め始め、危険な行為を繰り返す。 罪と罰の釣り合い。悪に対して強い憎悪を感じながら、悪を感じない人間になりたがる矛盾性。 冴木の異常性は嫌悪感があるけど、「私」の自己肯定の手段、惰性、傍観が、、、冴木以上に嫌悪感がありました(自己嫌悪に近いのかも)

『蜜蜂と遠雷』 恩田 陸

 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

 おすすめ ★★★★★

 

内容紹介

私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!

 

読後、、涙も興奮も収まらない。。。(脳内で音楽が響き渡り、歓声、拍手が鳴り止まず、頭痛がする)

うまく表現できないけど、不思議な感覚。

 

風間塵。。世界の音楽家から尊敬されるホフマンから贈られた少年。。彼を本物の「ギフト」とするか「災厄」とするか。。
音楽の神様に愛されているのはこの少年。。?

魅了、熱狂、嫉妬、憎悪、屈辱、狂乱、恐怖、と様々な感情を引き出させてしまう神々しい演奏。。天から音が降ってくる。。聴くと鳥肌以上の感動が込み上げる。。息が詰まる。。聴き終わると、一気に疲れが出て。。涙も出る。。畏怖に近い。震える。

わたしが一番大好きな挫折をした天才少女・栄伝亜夜。。彼女は母を失い、音楽界から退く。。母の旧友の後押しから、コンクール出場を決意。。塵やマサルという天才たちの演奏に共鳴し、、本来の自分を取り戻し、日に日に進化をしていく(恩田さんの少女が覚醒した時が、、とにかく好き。静かに覚醒していく亜夜。。わくわくわくわく。。)

早くこの子の音楽を聴きたい。。風間塵の次でラストなの。。ドキドキし過ぎて、、心臓痛い。

マサル(190cmの長身。イケメン。亜夜の幼馴染)、高島明石(28歳大人の音楽家。妻子持ちで社会人。音楽界への再挑戦に挑む努力家)など、、魅力的な音楽家や審査員や調律師。。そして観客。。彼らの目から通したコンクールの臨場感と緊張感が体の奥底まで伝わる。。

天才少女を発掘した奏ちゃん(旧友さんの娘さん。亜夜の才能を信じ続ける友)の存在がとても良い。。亜夜をサポートしつつ、見守る理解者。。この子の喜びは、まさにわたしの喜びに近い。。亜夜、マサル、塵との海でのプライベート。。隠し撮りしてた奏ちゃんの心境がとっても可愛い。。お気に入りシーン。。写真ほしいなぁ。。

「途方もない才能を目にするとは、恐怖に近い感情を喚び起こす」
24P塵くんの演奏が始まった時、わたしは喚び起こされた。。最後まで、観客でいることができた喜び。。読んでるのにずっと体の内から音楽を体感してるの。。こんな読書は初めて。。素敵な音楽を聴くなら、この本を読めばいいと思う。