みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『グランドシャトー』 高殿 円

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

不動のNo.1ホステスには秘密があった。
高度経済成長期、名門キャバレーのトップを張る二人のホステスは、勤め人の10倍以上を稼ぎながらなぜ下町の長屋で共に暮したのか。

【感想】

昭和38年。高度経済成長期、ルーは父と母、弟二人の五人で父の会社寮で暮らしていた。平凡な家庭で育つルーは父親の急死から人生が一転する。生活を支えるために高校を辞めて働きだすが、とある事情で家出をすることに。。どこに行っても問題を起こすルーが行きついた先は大阪京橋にあるキャバレー「グランドシャトー」。やがて不動のNo.1ホステス真珠が住む長屋で一緒に暮らすことに。真珠の暮らしぶりはとても質素で謎めいている。次第に問題児だったルーは真珠ねえさんの優しさや醸し出す雰囲気に惹かれ、名門キャバレーのNo.2ホステスに成長する。二人が勤め人の10倍以上を稼ぎながら、なぜ下町の長屋に住み続けるのか?そこにはある秘密があった。

 

プロローグから面白かった笑。ホステスのルーに一気に鷲掴みされたわ笑。真珠ねえさんがなんて魅力的な女性なんでしょう。いつもお決まりの黒のベルベットロングドレスを着て、目立つこともなければ、踊ることもなく、特別なことをするわけでもない。一見普通の女性なのだが、男性は真珠の優しさと神秘性に引き寄せられていく。すべてを受け入れてくれるキャバレーにどんな立場の男性だろうが、大金を落としていく。

「毎夜、京橋の竜宮城で繰り広げられる乱痴気騒ぎは景気がぐんぐんと上り調子であることの裏付けのように思われた..(中略)..皆がみな、日本がオリンピックを迎え、これをきっかけに何もかも新しく生まれ変わってゆくのだと信じていた。信じていたからこそ、金を使う。金を稼ぎ、また使い、驚くほどあっけなく手放す..(中略)..夢と金が同じだった時代。ぱっとまき散らされ紙くずになった宝くじを京橋に集う人々の雑踏が踏みにじっていく。」

こんな時代があったのですね。まさに竜宮城のような世界。泡ぶくの中のお話のようだけど、キャバレーは実際にあった文化なんですよね。今もあるのかな?こんなに華やかな印象は受けないんだけど。。いやぁ〜面白かった。

今まで読んできた本の中にたまにホステスが出てくる。「ミミ」という源氏名が多い(あとペットね)。。大抵がNo.2ホステス。グランドシャトーのNo.2の常連ホステスも「ミミ」だった。。No.1にはなれないホステスに相応しい名前なのかなぁ笑。