みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『DRY』 原田 ひ香

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

離婚をし、子と引き離され、金銭的に困窮した藍は、祖母と母のいる実家に戻る。
生活力もなく喧嘩の絶えない藍たちに手を差し伸べたのは、隣に住む美代子だった。
祖父を介護して暮らしているという美代子に助けられ親しくなるうち、彼女のある秘密が知れる……。貧困、ケア、孤独。背負わされる業と役割に、女たちはどう抗えるというのか。
迫真と驚愕のクライムノベル。

【感想】

今回の本も貧困がテーマ。新年早々『金環日蝕』『破船』と、なぜ立て続けに貧困と向き合っているのか?と自分に問いたいくらい貧困が続く...しかもかなりハードな内容だった。

母が祖母を刺して逮捕され、面会を求められた娘の藍。保釈金100万をせがまれる。このシチュエーションだけで、ろくでもない母ということが伺えるのだが、離婚をし、生活に困窮していることを母に打ち明けられずに、なんとか100万円を集める。保釈後、実家で被害者である祖母と加害者の母の口論が続き、祖母に被害届を取り下げるように頼む藍は、金銭で解決を図る。。祖母も母も損得勘定..上を行くシチュエーションに驚愕。母の言葉遣いがひどくて、げんなりもする。。しかし息つく暇もなく、更なる驚愕というか、慄いてしまったのが、祖母と母の修羅場現場である実家の台所。腐敗物や汚物の描写が生々しくて、気が滅入る。。腐臭が漂う部屋の掃除を手伝う隣の家に住む藍より少し年上の美代子。祖父に献身的介護をする優しい女性で藍の祖母と母を気に掛けてくれる頼れる隣人。藍も徐々に美代子を頼るように。しかし美代子にはとんでもない秘密が...。驚愕、慄きを遥かに超えるグロテスクな秘密。ド..ドライ..怖い。読むことができず..飛ばし読みしてしまった。最後まで読む自信を失いそうになったけど、山場は超えたようだ。。離婚、介護、年金、生活保護と貧困の闇に堕ちていく女性たち。貧困の背景にある生い立ちや家庭環境、孤独という社会問題を突き付けられているのだろうが、、女性たちの個性が強すぎて、気力が削られていき、疲れてしまった。

貧困からの脱出のために、次は明るい本を読もう。