みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『スロウハイツの神様』 辻村 深月

 

 

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

 
スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ。少年少女たちの殺し合いが起きた事件から10年。

アパート「スロウハイツ」オーナーで人気脚本家・赤羽環は漫画家、画家、映画監督の卵達、チヨダ・コーキと共同生活をする。

上巻は人物紹介、出会い、夢に向かうクリエイターたちの日常が描かれる。。赤羽環やチヨダ・コーキの才能に刺激を受ける住民たち。ライバル意識が芽生え、ぶつかり合うシーンなど、熱い展開が繰り広げられたり、新たな人気作家やニセチヨダ・コーキが現れ、謎めいた方向に。。

下巻は環境に少し変化があり...。環の過去やニセモノコーキ探しなど、、ミステリー要素と素敵なエピローグからのラストシーン。。赤羽環の愛情を超える友情物語が「優しさ」に溢れてて、一気読みでした。

作品が与える影響力。。人の命も奪うかもしれないけど、生も与える。。仕事への覚悟、夢、誇りがとても真摯に描かれて、、幅広く読んでもらいたい一冊。。

 

クリエイターたちの思いやりシェアハウス、面白かった。。個人的に気になる人物・スー(炊事担当、画家の卵の森永すみれ)のダメンズとの恋愛と環との友情にはハラハラズキズキでした。。ε=( ̄。 ̄;)フゥ

 

さてさて、、ややネタバレになりそうだけど、、チヨダ・コーキも大絶賛した人気作家・幹永舞の正体は??これは辻村作品っぽい謎ね。。クールに演技してるわね。。そこがわかると、また違った側面を見せる要素にもなると思う。。

『最後の恋』 伊坂 幸太郎他

 

最後の恋 MEN’S―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)
 

おすすめ ★★★☆☆

 

忘れられない恋。。女にはわからない、愛すべき男心。。だそうです。


「僕の舟」伊坂 幸太郎 

50年前銀座通りで出会った男性の行方を探偵・黒澤に依頼。。たった四日間だけの恋。。寝たきりの夫の看病をする妻の遠い昔の思い出が意外な結末に。。(偶然過ぎる奇跡。。伊坂さんらしい。。ところで、黒澤さんってあの泥棒の黒澤さん?って所がひっかかった。。💭)


「3コデ5ドル」 越谷 オサム

切り花を買いに来る日本人観光客女性・ケイコ(仮名)に恋をするジョン。。日本語を勉強し、仲良くなるが、彼女はただの観光ではなく目的は悲しい現実だった。。(なぜか控えめ女性はケイコと仮名をするアダルトショップ店長・ポノレノ。。根拠はなさそう笑)


「水曜日の南階段はきれい」 朝井 リョウ

軽音部の神谷光太郎は、将来の夢はM大の憧れのバンドサークルに入ること。。いつも水曜日に南階段をきれいに掃除する夕子さんに英語を習う。。クラスで地味な夕子さんがなぜ、水曜日に南階段を掃除するのか?

(この話が一番好き。小声で早口で努力家の目立たない夕子さん。。人気者の男子は惹かれそうな女子ね。。彼女の夢や掃除をする理由。。青春だぁ。。💕)


「イルカの恋」石田 衣良

東京で、仕事と恋を失ったあゆみは実家の葉山に戻り、カフェで働くこととなる。カフェオーナー・祐介と恋人・千尋。。月に数回お酒に溺れる千尋。二人の間には深い事情がある様子。。(あゆみのこれからを思うと、、とても辛い)


「桜に小禽」 橋本 紡

同棲していた2人が、別れ、引っ越しをする日。2人の出会いから幸せだった頃を振り返る。。(まだやり直せそうな2人だけど、、人生は恋だけではないのだ)


「エンドロールは最後まで」 荻原 浩

結婚しないと決めた女が一人で過ごす映画館。。帰りの牛丼屋さんで、声を掛けられた男と恋をする。。理想の男性のようだが、、なんだか怪しい方向に。。(男が女にお金の話をする時点で、、アウトでは?)


「七月の真っ青な空に」 白石 一文

犬猫の里親探しのボランティアをする蓮。猫の里親として、イラストレーターの徳永と出会う。お互い、婚約者、妻と死別をされる過去が。。心が死んだまま生きる2人。。(心も生きてる。。地道に。。)

 

ふと思う。。どの男性もどこか頼りなくて、、少し弱い。。そういう男性を支える女性。。これが理想の女性なのかも。。

男性って、、過去の恋愛を美しく保存しているのかもしれないね。。

 

 

 

『家守綺譚』 梨木 香歩

家守綺譚 (新潮文庫)

家守綺譚 (新潮文庫)

 

おすすめ ★☆ 

 

【感想】

時代は100年前。。売れない作家・綿貫が学生時代に亡くなった親友・高堂の実家の家守をすることに。庭付き池つき電燈つきの家。。とても居心地の良さそうなお家には時折不思議な者たちが訪れる。。綿貫と来客たちの交歓記録。。

 
鳥、竜、河童、狸、鬼、人魚、亡友などが突如現れ、綿貫を驚かせる。綿貫さんのいかなる化け物でも、向き合う心が素敵。。

数々の賑やかな交流も100年前の日本の風景、生活、自然の地を想像すると、、奇異な生き物たちとの共存が綿貫の日常に溶け込み、いつのまにか不思議な世界とは思えなくなる。梨木さんの穏やかで、静かな文章が腰を抜かす日常、時には心騒つかせる悲しい日常も風のように通り過ぎる心地よさを感じさせてくれる。

 

四季折々に見せる庭の風景と消えてゆく儚げな花々たち。。季節が来れば、再会できる草花たちとの楽しいひと時。。文明社会にいると、自然の声に耳を傾ける事を忘れてしまう。。草花たちがどんな声でどんな会話をしているのか、聞きたくなりました。

 


以前、疲れた心に効く本という帯に惹かれ読んだ本が疲れを増幅させてしまった事があった。。こちらの本はストレスを感じた時に、読むと、、心が穏やかになり、浄化されていく気持ちになりました。。わたしにはとても心地よさを与えてくれた一冊😌📖✨

『大人のための美容本』 神崎 恵

 

大人のための美容本~10年後も自分の顔を好きでいるために

大人のための美容本~10年後も自分の顔を好きでいるために

 

 

先日のオフ会でいただいた本。
料理、健康、ヨガの本は読むけど、、美容本は初めて読みました。40代からの美容情報。

美意識への追求論、メイク技術、高額な化粧品類の紹介、、時にはレーザー、、ゴッドハンドのエステシャンによるボディケア、、サロンでのヘアケア、、将来は糸を入れてリフトアップ計画を立ててる。。はぁ。すごいなぁ(改造人間計画に近いかなぁ。。)

「メガネという美容」は気になった。。
女性らしく見せるメガネ、凛とした印象を持たすメガネなど、、気分とスタイルで使い分けてるそうです。。わたしのような話しかけないでねアピールのネガティブサングラスとは違うなぁ。。目元の疲れ、たるみ、くすみなどのケアも参考にしながら、メガネとはこれからも付き合っていこうと思いました。。👓✨

いつまでも「女」で居続ける並々ならぬ努力?鍛錬?には、、ため息が出てしまう。。ついでにお金も出ていきそうね。。💸

神崎さんって方を知らなかったので、調べてみたら、、42歳の3児の母(わたしとほぼ同じだ)。。ご主人はヘアメイクアーティスト(ここは違うけど、、なるほど。。納得)。。とても美しい女性。。10年後を見てみたい。。

世の女性は、いつまでも綺麗でいたいという気持ちを必ず持ってるけど、、外見を磨くことも大事だし、それ以上に内面を磨く事も大事(←ここ、めちゃ努力じゃなくて、自然体に生きていける事が理想)


色々と勉強になりました。心がけは参考にしたい😊それにしても、女ってお金がかかる生き物だなぁ笑笑。。セルフケアでうまく年を重ねていきたいと思います✨

『ののはな通信』 三浦 しをん

 

ののはな通信

ののはな通信

 

おすすめ ★★★★★

【感想】

雨の音だけが聞こえる車内で、読み終わりました。。衝撃的で、、しばらく呆然。。

ミッション系のお嬢様学校に通う野々原茜と牧田はな。 頭脳明晰なののと天真爛漫なはな。 のののはなへの愛の告白をきっかけに親友から恋人となる。永遠と思っていた秘密の恋も長くは続かず。。

高校時代から20年超の二人の往復書簡で物語が進んでいく。
二人の秘密の手紙。。わたしもハラハラドキドキしながら読む。。少女の頃の心強く行動的なののの側で一喜一憂している無邪気なはな。。大学生になり、勉学に勤しむ冷静なののと恋を謳歌する相変わらず無邪気なはな。。大人になり遠く離れた二人は近況を伝えながら、二人の愛の思い出と目の前で繰り広げられる日常を語り尽くす。。甘え上手でふわふわしたはなの奥底にある激しさと優しさと芯の強さに感動が押し寄せた。。

二人の書き連ねた言葉の数々は、今のわたしには、痛烈に心に突き刺さり、、心臓の高鳴りを抑えるのに、、しばらく時間がかかりそう。。

女性独特の赤裸々な会話と周りが見えなくなる二人の世界観。。全ては打ち明けなくてもわかりあえる友達(恋人かな?)がいるのはうらやましい。。

男、女たちの人生に入るべからず。

『水やりはいつも深夜だけど』 窪 美澄

 

水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

 

おすすめ ★★★★☆


【内容紹介】

セレブママとしてブログを更新しながら、周囲の評価に怯える主婦。仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。同じ幼稚園に子どもを通わせる家々の、もがきながらも前を向いて生きる姿を描いた、魂ゆさぶる5つの物語。

 

「サボテンの咆哮」

仕事が忙しく、子育てにうまく参加できない夫。。妻と義父母から責められ、家庭に居心地の悪さを感じる。家事育児を全てこなした亡き母と仕事人間で言葉少ない父との思い出を振り返る。。息子と一緒に父の元へ訪れる夫。。父の一言に、、胸がしめつけられました。

「かそけきサンカヨウ

父の再婚相手と3歳の女の子と急に家族になる女子高生。。3歳の頃に母と離婚した父との二人暮らし。家事をしながら母の描いたサンカヨウの思い出と記憶が薄い母の面影を思い起こす。昔の家族と新しい家族。。思春期の複雑な心境が、とてもよく描かれていました。


家族のかたちはそれぞれ違うけど、わかってもらえない苦しみ。一人で抱えていく辛さは共感する。。何も変わらない日常だけど、知らぬ間に静々と、荒波に飲まれて行く人たち。。ヒリヒリと胸が痛む。。自分の苦悩の分、誰かも苦しんでる。。家族の何気ない一言や関わりひとつで景色が変わる。。小さな前向きに涙で字が見えなくなりました。デトックス効果があったようで、読後スッキリ。

 

 

 

『受精』 帚木 蓬生

 

受精 (角川文庫)

受精 (角川文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆

恋人を交通事故で失った舞子。悲しみは癒される事もなく、かつて二人で訪れた山に登り、そこで出会う僧侶に「恋人は生きている。彼の子供は産みたくないか?」と。。ブラジルのサルヴァドールに旅立つ。最新医療の産婦人科。自然豊かな環境も文化も素晴らしい世界で、同じ境遇の女性たちと気持ちを分かち合い、受診を続ける。穏やかな時を過ごす中、妊婦の遺体を目撃する舞子。遺体は処理をされ、隠蔽されていく。。疑惑が心に広がる中、妊婦の飛び降り自殺が起きる。。彼女が残したメッセージ。。連続不審死に舞子の周囲が密かに調査を始める。。彼女の死が本当に自殺なのか?

 


とても興味深いテーマでありながら、とても読み進めるのに困難な話でした。。最愛の男性を不慮の事故で失ってしまった女性の、愛する人の子供が欲しい気持ちはとても共感を得ます。シングルマザーで育てていく覚悟を考えると、、その覚悟は計り知れないものである以上に、出産のリスクとケアも考えさせられる内容であります。。中盤から巻き起こる不審死へのミステリー要素と進展がとてもじれったく、、思いのほか、退屈さを感じ得る事になる。ブラジルという文化、貧富の差を感じさせない心豊かな生活、医療保険に関する厳しい現実は、とても興味深く、産婦人科の医学以上の大切な繊細な心理的問題をとても実感した内容ではある。ドイツの歴史的背景、ブラジルの移民問題、が本編のテーマと不審死への追求などへの遠回りにしている気になり、、つい、本を閉じてしまい、読み進めない原因に。ラストの衝撃的結末?が人の命の軽さに唖然としてしまい、、人の命の重さと軽さの天秤の秤がわたしに混乱をもたらせ、とても複雑な思いのまま、読了を迎えました。。