みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『水やりはいつも深夜だけど』 窪 美澄

 

水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

 

おすすめ ★★★★☆


【内容紹介】

セレブママとしてブログを更新しながら、周囲の評価に怯える主婦。仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。同じ幼稚園に子どもを通わせる家々の、もがきながらも前を向いて生きる姿を描いた、魂ゆさぶる5つの物語。

 

「サボテンの咆哮」

仕事が忙しく、子育てにうまく参加できない夫。。妻と義父母から責められ、家庭に居心地の悪さを感じる。家事育児を全てこなした亡き母と仕事人間で言葉少ない父との思い出を振り返る。。息子と一緒に父の元へ訪れる夫。。父の一言に、、胸がしめつけられました。

「かそけきサンカヨウ

父の再婚相手と3歳の女の子と急に家族になる女子高生。。3歳の頃に母と離婚した父との二人暮らし。家事をしながら母の描いたサンカヨウの思い出と記憶が薄い母の面影を思い起こす。昔の家族と新しい家族。。思春期の複雑な心境が、とてもよく描かれていました。


家族のかたちはそれぞれ違うけど、わかってもらえない苦しみ。一人で抱えていく辛さは共感する。。何も変わらない日常だけど、知らぬ間に静々と、荒波に飲まれて行く人たち。。ヒリヒリと胸が痛む。。自分の苦悩の分、誰かも苦しんでる。。家族の何気ない一言や関わりひとつで景色が変わる。。小さな前向きに涙で字が見えなくなりました。デトックス効果があったようで、読後スッキリ。