みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『あなたのゼイ肉、落とします』 垣谷 美雨

 

あなたのゼイ肉、落とします

あなたのゼイ肉、落とします

 

 おすすめ 

 

【感想】

【ケース1】痩せて美人の女性が太ってしまったところから、周囲の反応の変化に戸惑い、苛立ち、孤独に落ちていく。。 

【ケース2】元華族の家系の末娘。。痩せて美人の姉たちに比べ太っている事で、自信を見失う。。

【ケース3】 突然の事故である時期の記憶を失うエリート社員。意識を戻ししてから、自分が太っていることに愕然。厳格な父との関係、会社の同僚たちの微妙な態度に、不安を覚える。。

【ケース4】母子家庭の小4の男の子。学校でイジメに遭うが、昼も夜も働く母親に心配をかけないように、我慢の日々を送る。。 

 

4人の太ってしまった人達のダイエット苦悩を解決していくお話。。4つのケースは少しずつ自分にも通じるものがあり、多少不安にもなったけど、大庭小萬里さんが、厳しく的確に解決してくれます。。はぁ。仰る通りでございます。。 この中で、【ケース2】と【ケース4】が良かった。

 

心のゼイ肉を落とさないと、、体のゼイ肉はなかなか落とせないようです。生活を整える事の大事さを痛感しました。

『あなたは、誰かの大切な人』 原田 マハ

あなたは、誰かの大切な人 (講談社文庫)
 

 おすすめ ☆☆

 

【内容紹介】

勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独のうちに他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは……(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人に気が付いたときの温かい気持ちを描く珠玉の六編。

 

じんわりする場面もあるけど、疲れた心に、さらに疲れてしまった。。タイミングの合わない本ってあるね。今度また読んでみます。

『完璧な家』 B・A・パリス

 

完璧な家 (ハーパーBOOKS)

完璧な家 (ハーパーBOOKS)

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

郊外の豪華な邸宅で暮らすグレース。ハンサムで優しい夫にも愛され、人は彼女を“すべてを手にした幸運な女”と羨む。だが、真実を知る者は誰一人いない―グレースが身も凍るような恐怖のなか、閉ざされた家で“囚人”同然の毎日を送っていることなど…。理想の夫婦の裏の顔とは!?

 

【感想】

やっと解放された。。イケメンで優しい夫・ジャックに愛される妻・グレースの誰もが羨む完璧な結婚生活は、監禁、監視、拘束、脅迫の日々だった。完璧な結婚生活を演じさせられる恐怖の日常。ダウン症の妹・ミリーと隣人のエスターとのささやなな交流の場面がとても緊張感を増す。夫の監視下のもと、うまく切り抜けていけるか。。とにかく疲れた。わたしには読みにくかったのか、苦痛だったのか、、何度か閉じてしまった本です。。

『ビロウな話で恐縮です日記』 三浦 しをん

 

ビロウな話で恐縮です日記

ビロウな話で恐縮です日記

 

 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

人生に退屈なことなど何もない

天下無敵の妄想体質作家・三浦しをんが贈るミラクル・ダイアリー・エッセイ!
著者自身による愛てんこもりの脚注&書き下ろしのおまけも収録!

 

【感想】

借りてから、数ヶ月。。じっくり楽しみました。。面白すぎて、終わりに近づく頃には読み終わりたくない気持ちで、付箋箇所をまた読むなど、、結局、2回読みました。(お気に入りのお話は何度も読んでる。。)

しをんさんのお言葉を借りるならブラッケスト・マーライオン(ものすごく腹黒い愚痴をマーライオンのごとく吐き出すこと)を無性にしてみたい。。笑笑。。

日記を継続して行くのがいかに難しいか。日記は記録への執念。個人的な記録のようで、他者へ向けて開かれてる。。誰かとつながりたいという欲望の表現なのではないかと、しをんさんは推測してました。。納得。。
お友達の帯付き。。全くその通り😊📖🎶

『ぶたぶたの甘いもの』 矢崎 存美

 

ぶたぶたの甘いもの (光文社文庫)

ぶたぶたの甘いもの (光文社文庫)

 

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

町の小さな稲荷神社の参道に、知る人ぞ知る「和菓子処しみず」はある。春夏秋冬、季節のスイーツを求めて暖簾を潜れば、絶品和菓子に、甘酒、おでんや焼きそばまで、旨いものが勢揃い。店の主人・山崎ぶたぶたにも、運がよければ出会えるはず。変わった名前だけれど、その正体は…?疲れたとき、悩んだとき、ぶたぶたの作る甘~い和菓子で、ひと休みしていこう。

 

【感想】

和菓子屋さんに訪れる人々が甘い和菓子でほっこり不思議体験をする短編集。
和菓子職人で店主・山崎ぶたぶたさん。絶品和菓子の数々を作る腕前と、運転も気配りも上手で、表情豊か(出会った人たちの主観)なぶたのぬいぐるみ。バレーボールサイズで妻子あり。。色々と突っ込みたいところ満載だけど、あえて突っ込まない登場人物たち。。心のつぶやきは笑える。。

一話ではパワースポットに訪れた女性とのドタバタふれあいがあり、まだこの回では馴染むことができなかった(受け入れる事柄が多い)
次第に、不動産屋に就職し、めまぐるしい業務を海苔団子で乗り切った若者や夫の急逝に悲しみ泣き続ける妻が突如、夫との思い出の栗きんとんを食べに行く話や父親との関係に悩む息子が途中下車した街で家族との在り方を見つめ直すという...ぶたぶたさんとのふれあいで大きな戸惑いの中(これは当然の反応)、心軽やかになっていくお話。
日々の疲れで、読書もままならないわたしも、、見た目はぬいぐるみ、中身は中年男性。。とても斬新で、思わぬ癒しをいただきました。。

ぶたぶたシリーズでぶたぶたさん、寿司職人、カウンセラー、刑事、ごく普通のお父さんなど、あらゆる職で、大活躍してるようです。。これは、他も気になるね。。🐷

『エスカルゴ兄弟』 津原 泰水

 

エスカルゴ兄弟

エスカルゴ兄弟

 

おすすめ ★★★★☆

【感想】

出版社に勤める柳楽尚登は突然、社長から問題を抱えた飲食店に出向される。しかも料理人として。。立ち飲み屋だったお店を本物のエスカルゴが味わえるフランス料理店に変えるという無謀な計画をする店主兼写真家兼ぐるぐる渦巻き愛好家の雨野秋彦。秋彦の妹・梓や看板娘・剛さんと出会い、お店の経営、料理人として、腕を上げていく。エスカルゴ料理の試行錯誤を繰り返しながら、、いつしか尚登の中で、フランス料理店の存在、価値、やり甲斐が高まっていく。。という時に、またも突然出版社に呼び戻される尚登。。編集の道と料理の道のどちらを選ぶのか?

強烈に面白いのが、雨野兄妹。。
尚登が秋彦の本質を語っているくだりがすごく笑えた
「分かると分からないというふうに分かっていないと分かっていることを貴方は分かっていない。。分からず屋だ」笑笑。。とにかく、、分からず屋で個性強過ぎだけど、誰よりも周りのことを想ってる秋彦が好き。。
エスカルゴの修行中に一目惚れした伊勢うどん屋の娘・桜は尚登の実家讃岐うどん屋の宿敵。。このうどん戦争も面白い。。恋の行方も気になるところ。。

初読み作家さんでしたが、軽快な会話と美味しい料理の数々と仲間の大切さを感じられる一冊。。読んでると、、ぐるぐるお腹が空いちゃいます。。🐌

『去年の冬、きみと別れ』 中村 文則

 

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

 

おすすめ ★★☆☆☆

【内容紹介】

ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか? それは本当に殺人だったのか? 「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は――。

 

【感想】

映画の宣伝で「映像不可能」「この罠にハマる」と期待値を上げてたので、、原作読んでみました。。

ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。という、ところから話がスタート。。
複雑な内容と登場人物の歪みが、、混乱してしまい、事件が歪んだ方向に。。事件の資料や手紙が被告の情緒不安定さと残虐性を引き立たせる。。真相がわかった時、、人間の狂気と歪んだ愛に、、嫌な後味だけが残った。。最初から最後まで歪みっぱなし。。

 

 

【注意】こちらから↓はネタバレします

 

ライターの「僕」の取材内容と被告の手紙。被告の幼い頃の家庭環境と残虐な行為と精神的に追い込まれていく様が描かれ、被告の人物像を強く印象付けてます。

真相はある人物が、被告への復讐劇をライターを利用して、小説化したというオチ。誰も殺害していない被告を死刑囚に仕立て上げる復讐劇。。その復讐劇を小説化し、被告に読ませて完全な復讐を遂げるらしい。。最初のページに「M.Mへ そしてJ・Iに捧ぐ」と献辞(これはずっと引っかかっていた部分)が書かれてる理由もラストにわかる。イニシャルが登場人物の誰とも合わないので、意味がわからないままラストへ。。イニシャルは本名で小説だから仮名にしたよって笑。。あり?な衝撃度はありました。。


映画はどんな風に描かれてるのかは、、確かにちと気になる。。