みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『ビブリア古書堂の事件手帖4〜栞子さんと二つの顔』 三上 延

 

 おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

珍しい古書に関係する、特別な相談――謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。その古い家には驚くべきものが待っていた。
稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う。
金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。そして、迷宮のように深まる謎はあの人物までも引き寄せる。美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが――。

 

【感想】

本作は短編集だった今までとは違って長編でした。。好きな江戸川乱歩が題材。。横溝正史と乱歩の意外な関係など、相変わらず古書にまつわる知識が楽しい。

しかも栞子母・智恵子失踪以来の初対面。。確執ありの母娘対決。。興味そそられる。。でもここで、、急展開のはずが、なんとなくトーンダウンな気がしたのは長編だからかなぁ。。短編の切り替えが良かった分、長編って、、難易度高いって思いました。。でも次巻も気になる

『本日は、お日柄もよく』  原田 マハ

 

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

 

 おすすめ ★★★☆☆

 【内容紹介】

OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。

 

【感想】

幼い頃から、本の世界で、「言葉」に触れてきた。。「言葉」の影響を受けやすいわたしは、「言葉」ひとつひとつに、喜んだり、悲しんだり、心震えたり、苦しんだり、励まされたり。。

「困難に向かいあったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまってる。二十四時間後の君、涙は乾いてる。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している」

...

すごい力。。
スピーチライター、、言葉で世界を変えることもできる。。感動でした。

『吉原暗黒譚』 誉田 哲也

 

吉原暗黒譚

吉原暗黒譚

 

 おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

江戸の吉原で黒い狐面の集団による花魁殺しが頻発。北町奉行所の貧乏同心、今村圭吾は花魁たちを抱える女衒に目をつけ、金で殺しを解決してやるともちかけた。一方、大工の幸助は思いを寄せていた裏長屋の華、おようの異変に気づき過去を調べ始める──。「姫川」シリーズの著者初の時代エンターテインメント。謎あり、恋あり、活劇ありの<江戸時代版警察小説>登場!

 

【感想】

誉田作品は「姫川シリーズ」と「武士道シリーズ」を読んで、どちらも面白かったので、初の時代小説だというこの作品を手に取ってみました。

江戸時代の警察小説。女衒・丑三の花魁ばかりが狙われる連続殺人。今村刑事(同心という役職)は丑三に5百両の報酬を持ちかけ、元花魁・彩音と独自に捜査を行う。...
一方、幼い頃から父親に折檻をされ続ける美女・およう。おように恋をする大工・幸助の話が同時並行に描かれる。

吉原。。色めきだったお話も盛り込まれ、恋愛模様あり、花魁システムの説明もあり、剣の闘いもあり、火事もあり、粋も野暮も多少あり。。
トーリーは、、普通の警察小説でした。でも、時代が変わると普通のお話も異色に感じられ(時代小説慣れしている人だと、感じ方は違うかも)、現代の警察とは全く違う捕物劇。。情ひとつでどうにかなる時代?面白かったです。
主要人物にあまり魅力を感じられなかったのが残念。その中でも元くノ一・元花魁・現在は人気髪結いの経歴を持つ彩音は良かった。峰不二子みたい。
時代物は読み慣れていないので、読み進めるのに苦労はあったけど、時代小説もたまには、読んでみようと思ったのでありんすぅ。。

『ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~』  三上 延

 

 おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない―。これは“古書と絆”の物語。

 

【感想】

今回も良かった。。シリーズ読むうちに、、どんどん吸い込まれて行く。
古書を通して、誰かに伝えたい想い。。本で救われていくこと。。苦しい時に投げかけられる本の一節。。心に留めておきたい言葉。。読んでるだけで感情が込み上げてきた。。(;_;)

栞子さんの失踪してしまったお母さんへの想いや不可解な謎。。

「一般的に母と娘が仲違いしたら、原因は母親の方にある」

栞子さん断言。。根深い母娘の確執。。母への想いが強い証拠。。

探し続けるお母さんとの思い出の一冊。。栞子さんの周辺の奇妙な動きが次回にどう展開されるのか。。?
続きが気になります。

『青の数学』 王城 夕紀

 

青の数学(新潮文庫)

青の数学(新潮文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

【内容紹介】

雪の日に出会った女子高生は、数学オリンピックを制した天才だった。その少女、京香凜(かなどめかりん)の問いに、栢山(かやま)は困惑する。「数学って、何?」――。

 

【感想】

京果凛(かなどめかりん)数式。。そ答えを探す佰山(かやま)
数学者が集まり決闘し合うネット上闘技場「E2」
全国トップ高校数学研究会と決闘する佰山。。数学想い、数学をやる意味、、仲間やライバルと競いながら、、答えを追求していく。...
数学オリンピックに挑む高校生たち熱き闘い物語。。

数学って何?」
解ける、証明する、正答がある。シンプルなだけに難解な世界。。

「わたしはなぜ数学ように美しくないだろう」「愛しているというだけで残れるほど数学は優しくない」
「好きな数字は?そ意味は?」「最も美しい長方形は?」「美しい数式は?」
人生で考えたこともなかったことばかり。。

ラストが清々しく終わったこと。。序盤では想像できなかった。まさにこれが数学。。
わたしにとって、、とっても刺激的な作品でした

『ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常』  三上 延

 

 おすすめ ★★★★☆

 

古書店の店長・栞子さんの所に持ち込まれる本の謎を解くお話。
鋭い洞察力、本の知識は相変わらず凄い。。それ以外には無頓着。。ギャップがたまらないわね。。今回は彼女の意思と芯の強さを感じられるお話もあり。
栞子さんの母親(本から持ち主の人間性まで見抜く強者)との過去や本音が少しずつ明らかに。。今後も楽しみ。。...
気になるのは大輔くんの片思い。。彼の距離の縮め方(そのまま焦らないでね)が好ましい。。恋心を抱かれてる栞子さんが、、うらやましいなぁと思いました。。すごく鈍感だけど笑。

とても読みやすく、続きが気になって仕方ないけど、、1冊読むのに、、疲労感が。。帰宅後、玄関で読み終わりました。。靴を脱ぐことも疲れる。。栞子さんの読書集中力を見習いたいです。。

『短編復活』 

 

短編復活 (集英社文庫)

短編復活 (集英社文庫)

 

 「小説すばる」に掲載されてきた、膨大な数の短編小説を厳選してお届けするアンソロジー。
【目次】 回想電車(赤川次郎)
角筈にて(浅田次郎)
特別料理(綾辻行人)
蛍ぶくろ(伊集院静)
岩(北方謙三)
猫舐祭(椎名誠)
38階の黄泉の国(篠田節子)
プレーオフ(志水辰夫)
苦労判官大変記(清水義範)
梅試合(高橋克彦)
盛夏の毒(坂東真砂子)
超たぬき理論(東野圭吾)
さよなら、キリハラさん(宮部みゆき)
キャンパスの掟(群ようこ)
いるか療法―突発性難聴(山本文緒)
青の使者(唯川恵)

 

「特別料理」綾辻 行人
店の名は「YUI」高級特別料理。食材は入荷困難な物ですが究極のゲテモノを堪能できます。肉・魚・虫(いずれも珍味)をお好きな調理でいただけます。常連客にはスペシャルメニューという特典付き。スペシャルメニューのランクCはサナダムシ料理。ご希望により排泄物・吐瀉物も。。(この辺りでなぜ、こんなの読んでるんだろ?と疑問)。。ランクBは人肉。。(あぁぁ予想はしてたけど、、じゃぁランクAは。。。はぁ、、そうですか。。という読後でした。。

「超たぬき理論」東野圭吾
一平は子供の頃に空飛ぶたぬきを見る。たぬきへの研究を極め、UFOはたぬきであるという答えに行き着く。。
めちゃ面白かった。。こじつけもこじつけだけど、、実際の未確認飛行物体に関しての説もこじつけに近いものであるから「たぬき」でもいいと思うなぁ笑笑。。ラストのオチ!いや、、最初からのオチ!爆笑。。東野さんやっぱり面白いわぁ。。

「青の使者」唯川恵
愛人と飼っていた鯉の水槽に新たな青い鯉を放した途端に病気になり全滅してしまう。それを機に女は愛人との別れを決意し、貸したお金を取り戻すため、行方不明の愛人を探す。。
この本にふさわしいラスト。。怖い。。女の狂気。。女遊びは命がけでしてください。。

その他のお話も、、永遠の牢獄を彷徨う男女や美貌の妻への疑惑の毒にやられる夫や本物の源義経が弁慶で御大将義経が替え玉だったら?などなど、豪華な著者たちの短編集でした。。