みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『ソーシャル・ネットワーク』

 

 

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

マーク・ザッカーバーグハーバード大学時代に作り上げた「フェイスブック
製作協力をしたウィンクルヴォス兄弟らと創業者、共同製作者である友人エドゥアルド・サベリンに訴訟を起こされ、、訴訟手続きと同時進行で大学時代の「フェイスブック」立ち上げの回想シーンが展開されていく。。

概要は知っていたので、ストーリーは頭に入りやすい。。ハーバード大学のエリート気質が垣間見れた。。天才マークのやんちゃぶりが映えるわ。。ハーバード大学の学生交流サイトが、、西海岸、ヨーロッパと発展していく頃には、マークの友人であるエドゥアルドの手の及ばないほどとなり、、マークとの友情破綻な出来事が起こる。
マークにとっても、エドゥアルドにとっても、「フェイスブック」はとても大切な存在。。それぞれの考え方は違っても、、目指していた事は同じだった。。ここまで巨大化されたモンスターサイト。。他者がほっとくわけにはいかないね。。

長男の中学時代の担任教師が
「出る杭は打たれる。打たれないくらい突出すればいい。。誰もが認め、、打たれなくなる」

突出した先に、、周りを見回した時、、とても孤独な世界が待ち受けてるような気がする。。
ラストにマークが、、大学時代にフラれた女の子に友達申請を何度もして確認してる姿。。
小さな箱に夢を広げていた彼の、、虚しさが見えて、、妙に悲しい想いになりました。。
最年少で長者番付にランクインしたザッカーバーグくん。。失ったものが大きかったのか、得たものが大きかったのか、、一般庶民には、、わからない。。

友達とコーディングしていた頃、、この時が一番高揚していただろうし、希望もあっただろうし、、この時って、ほんとに楽しいんだよね。。

 

『夜中の薔薇』 向田 邦子

 

新装版 夜中の薔薇 (講談社文庫)

新装版 夜中の薔薇 (講談社文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

内容紹介

気に入った手袋が見つからなくて、風邪をひくまでやせ我慢を通した22歳の冬以来、“いまだに何かを探している”……(「手袋をさがす」)。凛として自己主張を貫いてきた半生を率直に語り、人々のありふれた人生を優しい眼差しで掬いあげる 名エッセイの数々。突然の死の後も読者を魅了してやまない著者最後のエッセイ集。文字が大きく読みやすく、カバーの絵も美しくなった新装版。解説/太田 光

 

エッセイを定期的に読むのは向田さんだけ。
何の変哲も無い日常が向田さん視点になると、とても深い事柄に変化する。。執筆活動の話、厳しいご実家の思い出話、お酒のエピソード、手料理、旅行記など、、話題豊富で、、とにかく面白い。。

 

時の刻み方の話が好きです。
「時計なんか怖くない」
1日で趣味や仕事を能率よくこなすことより、一つのことをゆっくりして、夜まで深く味わうことを好む。
人間は時計を発明してから、能率的にはなったが、同時に「時計の奴隷」になり下がった。
「1日を無駄にしてしまう」絶望は人生の大時計で計ればほんの一秒ほどのこと。。素敵な時間です。

 

大中小問題も笑えて好き。。

数日、大中小問題に悩む向田さん。。大にすれば残しそう。。小にすれば物足りない。。したり顔で中にするのは嫌だと。。解決策は、、缶ビールを買うことにした。大瓶中瓶小瓶に悩まなくて済む。。。

 

1ページにも満たない文章で、心を動かしてくれる向田さんのお話がとても好きです。。共感する事(男性の好みが同じ)が多いとうれしくもあり、、クスっと笑えたり、、教訓にしたり、、向田さんの心配をしてみたり。。

「不思議だなと思った小さな違和感を忘れてはいけない」
わたしも、、忘れないようにいつも心がてます。。

あと、、
いたずら電話は大声で「ワン!」と吠えるそうです。。今度やってみよう。。

 

『七月の流れる花』  恩田 陸

 

七月に流れる花 (ミステリーランド)

七月に流れる花 (ミステリーランド)

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

七月の終業式。。ミチルの背後を追いかけるみどりおとこ。。いつのまにか姿を消したみどりおとこの代わりに、、封筒を手にする。。
「大木ミチル様 あなたは夏流城(かなしろ)での林間学校に参加しなければなりません」

ミチルの参加した林間学校。。。そこで出会う6人の少女たち。。外界から隔離された不思議な共同生活。。「帰宅」の選択権はない。。謎のルール。。穏やかに時が進んでいくうちに、、1人の少女が失踪する。。林間学校の隠された謎は?みどりおとこの正体は?
夏流城。。「あれが、あたしたちの、、淋しいあたしたちの、、お城なの。。」

去年は『蜜蜂と遠雷』(直木賞受賞おめでとうございます)で、、臨場感、高揚感、脳内に響き渡るピアノの音色で、、感動の読後感でした。
その後だったら、、ライト過ぎて、、「うん。。恩田さんらしい不思議なお話でした」、な感想でしたけど、、今、わたしの心の中が不安定なので、、思いの外、、入り込んでしまいました。。
ミチルの、、ついさっきまで変わらない日常(非日常の世界ではあるが、人間は慣れるので)が少女失踪から、、見えていた世界がたちまち変わる。。わかります。。ほんとに些細なきっかけで、、ガラリと風景が変わる。。友達の顔色も変わる。。世界が一転する瞬間。。この本を読んで、、じわじわと不協和音が鳴り響いてます。。

『八月は冷たい城』も読みます。。今度。。
1冊2484円は、、高いなぁ。。

『裏閻魔3』 中村 ふみ

 

裏閻魔3 (ゴールデン・エレファント賞)

裏閻魔3 (ゴールデン・エレファント賞)

 

 おすすめ ★★★★★

 

【感想】

不老不死となり、江戸から昭和を生きる閻魔と夜叉の物語もついに最終巻。

江戸幕末、新撰組に密偵として送られ、裏切り者として追われる身となる周(あまね)。瀕死状態の周を助けたのは彫り師・宝生梅倖。。鬼込めという禁忌の墨(閻魔天)を掌に刻まれ不老不死の身体になる。梅倖の元で彫り師の修行をし、周から「宝生閻魔」として生きる(この瞬間、めちゃかっこいい💕)
閻魔、、鬼と共生しながら、、人間として生きた男。。弱気な心を持つ反面、鬼に喰われない強い意志を持つ苦悩な男。男女問わず、惚れられるサムライ。。かっこよくてかわいい人。そばにいたら惚れちゃうな。その時代のファッションを着こなす閻魔にも、安心しました。

周に関わる登場人物がとても魅力的。
同じ不老不死の兄弟子・宝生夜叉、、誰よりも寂しがりやで愛されたい人。助けてあげてほしい。死んでほしくない(死なない身体とはいえ、、死にそう)

周を生涯愛し続ける奈津。閻魔を支援し続ける牟田信正と養女・惠子。不老不死の調査をする進駐軍兵士・ロブ。閻魔の飼い猫ちゃん。。などなど。。

2人の不老不死者の生き様に心打たれながら、、女目線で読んだわたしが胸打つのは奈津と惠子。。閻魔への恋心。叶わぬ想い。最終巻では奈津の手紙で閻魔への想いが綴られる。。愛する男の年齢を超え、年老いていく辛さ。。切ない、痛感する。閻魔から姿を消した奈津の秘密。女として生き続け、女として一生を終わりたい。。強く共感。惠子もまた閻魔を愛する一方で奈津と閻魔の幸せを心から願い、奮闘する。。牟田家の総力をあげて、全面的に協力する心強い女性。。


読み慣れない時代物かと思ったら、激動の時代を駆け巡る愛の物語だった。。一気読み。。わたしも駆け抜けた。楽しかった♪

『裏閻魔2』 中村 ふみ

 

裏閻魔2 (ゴールデン・エレファント賞シリーズ)

裏閻魔2 (ゴールデン・エレファント賞シリーズ)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

広島で奈津を探すも叶わず、失意のまま東京へ戻ってきた閻魔。その頃、東京では奇妙な自殺騒ぎが続いていた。一方、不老不死の『鬼込め』を求める者たちは信正に代わり牟田家を継いだ惠子にまで魔の手を伸ばす。死期を悟った信正から、奈津の居所を託された夜叉。自殺者たちの右手に『鬼込め』があることに気づいた閻魔と夜叉は、梅倖にかつて破門された男の弟子を探しはじめる。戦後復興期の日本で閻魔と夜叉が再び出会う。

【感想】
【あとがき】で、作者が続編を「どうするべ」な状態で書いたと。。。「どうするべ」レベルでこの内容。。すごいね。。次巻を読もう。。

『裏閻魔』 中村 ふみ

 

裏閻魔

裏閻魔

 

 おすすめ ★★★★★

 

江戸時代、新撰組に密偵として送られ、裏切り者として追われる身となる周(あまね)。瀕死状態の周を助けたのは彫り師・宝生梅倖。。鬼込めという禁忌の墨(閻魔天)を掌に刻まれ不老不死の身体になる。梅倖の元で彫り師の修行をし、周から「宝生閻魔」として生きる(この瞬間、めちゃかっこいい)倒幕、明治時代へ。愛する女性、同じ運命を背負う兄弟子。江戸から昭和を駆け抜ける2人の鬼と1人の女性。。奈津、、女として耐え抜く強さ。周、、不死の孤独さの故の苦しみと愛する人への想い。。次巻につづく。。

『ちょうちんそで』 江國 香織

 

ちょうちんそで (新潮文庫)

ちょうちんそで (新潮文庫)

 

おすすめ ★★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

いい匂い。あの街の夕方の匂い―。些細なきっかけで、記憶は鮮明に甦る。雛子は「架空の妹」と昔話に興じ、そんな記憶で日常を満たしている。それ以外のすべて―たとえば穿鑿好きの隣人、たとえば息子たち、たとえば「現実の妹」―が心に入り込み、そして心を損なうことを慎重に避けながら。雛子の謎と人々の秘密が重なるとき、浮かぶものとは。心震わす“記憶と愛”の物語。

 

郊外の高齢者向きマンションで一人暮らしをする雛子。50代(若手)。。架空の妹・飴子(音信不通の妹。。妻子持ちと駆け落ち)と過去の記憶を思い耽りながら、常に会話をする。。過去に小人を見た経験あり。。2人の息子の母。。家庭を捨て、男と駆け落ち。最初の夫(長男の父)病死。。2番目の夫(次男の父)健全。。不倫相手自殺。。「男で身を持ち崩す家系」と揶揄。。

物語は、、雛子、マンション住人、2人の息子、イギリスに住む小学三年生の女の子(小人を見た経験あり)の日常を、、それぞれの視点で描かれる。。

しきりに話しかけてくる架空の妹との会話をする無邪気な雛子。。やや冷めた発言をする架空の妹。。2人でいるときの雛子が幼い少女に戻ったように可愛らしい。。孤独なのに、孤独とは感じられない。。ちょくちょく遊びに来る隣人をもてなす雛子と鬱陶しさをストレートに表現する架空の妹。。このやりとりも面白い。。

息子2人の話から、、過去の雛子の生活がわかる。。次男が幼かった時に駆け落ちをした母親への思いは、、長男の方が根深く、、大人になっても許せないでいる。。面会に来ない家族の事を思考から排除するかのように、、架空の妹との暮らしを愉しむ雛子。。次男の訪問に緊張感を走らせながら、、平静を保つ雛子。。

読んでいくうちに、、雛子の苦しみの抱え方が切ない。。どんなに、、幼少の頃の思い出を振り返って楽しんでも、、現実では、妹、子供たちとは向き合えず。。マンションの掲示板に貼られる空き家のリフォームのお知らせ(住人の死を表している)を見るたびに、、死を深く考える。。非現実的に思われる雛子の日常から、、とても厳しい現実を突きつけられ、、ゾワリとする。。

続きがとても気になる終わり方。。もう少し、、雛子を読みたかったなぁ。。
取り戻せないかけがえのないものからの逃避、、高級高齢者向きマンションへの興味(住めないけど)、、小人、、死ぬまでには見てみたい。。と、中々考えさせられる読後でした。。