みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『サロメ』 原田 マハ

 

サロメ (文春文庫)

サロメ (文春文庫)

  • 作者:原田 マハ
  • 発売日: 2020/05/08
  • メディア: Kindle版
 

おすすめ ★★☆☆☆

【内容紹介】

現代のロンドン。日本からビクトリア・アルバート美術館に派遣されている客員学芸員の甲斐祐也は、ロンドン大学のジェーン・マクノイアから、未発表版「サロメ」についての相談を受ける。 このオスカー・ワイルドの戯曲は、そのセンセーショナルな内容もさることながら、ある一人の画家を世に送り出したことでも有名だ。 彼の名は、オーブリー・ビアズリー。
1890年、18歳のときに本格的に絵を描き始め、オスカー・ワイルドに見出されて「サロメ」の挿絵で一躍有名になった後、肺結核のため25歳で早逝した。 当初はフランス語で出版された「サロメ」の、英語訳出版の裏には、彼の姉で女優のメイベル、男色家としても知られたワイルドとその恋人のアルフレッド・ダグラスの、四つどもえの愛憎関係があった……。
退廃とデカダンスに彩られた、時代の寵児と夭折の天才画家、美術史の驚くべき謎に迫る傑作長篇。

【感想】

この本を読む前にオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』を読みました。感想→『サロメ』 オスカー・ワイルド - みみの無趣味な故に・・・

 

人気作家ワイルドと天才挿絵画家ビアズリーの史実に基づき描かれていますが、天才芸術家同士の愛憎劇というより、ビアズリーの姉、メイベルの執着した弟愛の狂気と弟に捧げた人生にスポットを当てられ、あまり入り込めなかった。結核を患う病弱な弟を画家にするために女優を目指すメイベル。ある舞台で出会ったワイルドに弟の絵を売り込む。「サロメ」の役を演じたいと熱望し、ワイルドに近づきたいメイベルだが、ワイルドの興味の矛先は弟のオーブリーだった。ワイルドに心奪われるオーブリーを引き離すためにワイルドを陥れるメイベル。。

オーブリーの寿命を縮ませたのは姉ではないかと思うほど、、メイベルが厄介だった。弟の成功、自分の夢のためなら手段を選ばず、歪んだ愛が弟と共に自滅していく。。ワイルドとビアズリーの2人の才能が火花を散らすような物語を期待してしまったので、残念ではあった。。

あと...評価を下げたのは物語の始まり。現代のロンドン。未発表のサロメが発見され「これは...事件です!」と、衝撃から始まり、終盤でまたこの2人が登場するのだけど、、、驚くほど無駄で..なぜ必要なのか?(ごめんなさい💦)と頭の中がはてな?でいっぱいでした。