みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『サロメ』 オスカー・ワイルド

 

サロメ (岩波文庫)

サロメ (岩波文庫)

  • 作者:ワイルド
  • 発売日: 2000/05/16
  • メディア: 文庫
 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

妖しい美しさで王エロドの心を奪ってはなさない王女サロメ。月光のもとでの宴の席上、7つのヴェイルの踊りとひきかえに、預言者ヨカナーンの生首を所望する。幻想の怪奇と文章の豊麗さで知られる世紀末文学の傑作。R.シュトラウスのオペラ「サロメ」の原典にもなった。幻想的な美しさで話題を呼んだビアズレーの挿画をすべて収録。

 【感想】

原田マハさんの『サロメ』(作家オスカー・ワイルドが世に送り出した挿絵画家・オーブリー・ビアズリーとの物語)を読むために、ワイルドの戯曲を読んでみました。ビアズリーの印象深い挿絵。巧みな白黒のペン画に惹かれ、サロメのあらすじは多少知っていたけど、物語は初めて読みました。

サロメに魅了され、翻弄されていく男たち。そのサロメが愛する預言者・ヨカナーン。ヨカナーンに口づけを!と叫び続けるサロメの執着心。兵士の恋心を利用し、ヨカナーンとの逢瀬を図り、義理の父でユダヤの王・エロドの心を奪い、踊る代わりに褒美の誓いを立てさせる。。ヨカナーンの首を手に入れたサロメはついに口づけを果たす。。一方で娘を目で追う夫に全く相手にされない王女・エロディアスの存在感も大きかった。夫には「あの子をなぜ見る?」娘には「踊るな」預言者には「黙れ」やかましいくらい叫び続けてた笑。

妖しさを醸し出す演出効果を出したのは、不吉な輝きを放つ「月」。。冷たく純潔に輝く月が次第に悲劇が始まるかのように赤く染まりゆく。。

ラストのビアズリーが描く「最高潮」の挿絵がサロメの狂気的な愛を強く印象づける。。

最後にワイルドの生涯とビアズリーの挿絵についての解説もあり、18枚のビアズリーの挿絵が楽しめる一冊でした。