みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画、絵画鑑賞の感想を書いてます。

『流浪の月』 凪良 ゆう

 

流浪の月

流浪の月

  • 作者:凪良 ゆう
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/08/29
  • メディア: 単行本
 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

 

【感想】

深刻な問題がたくさんあり過ぎて疲弊をした。

誘拐事件の加害者と被害者。世間の事実と当事者の真実。ネットの煽り、思い込みの狂気、暴力、依存。。母親の影響力。。全てを心の闇と突き放してよいのかどうか。。言いたい放題の他人の無責任な正義感と好奇心の悪意が満ち溢れ過ぎて...ヘビー級のパンチを喰らわされた気分。誹謗中傷をする事はないにしても「少女誘拐事件の加害者」というだけで嫌悪感はわたしにもあると思う。被害者の心の傷を勝手に想像して同情する事もある。心中ザワザワが止まらず、大きく打ちのめされた。。

本屋大賞ノミネート作品の中で興味のあった作品でした。とてもパワーのいる読書だったけど、読んで良かった。。

ネタバレします。

9歳の更紗。父が亡くなり、母に置き去りにされ、伯母夫婦の家で暮らすが、心の傷を負い、居場所を失う。公園で出会った小児愛好者と噂される大学生・佐伯文に「うちにくる?」と言われ、共同生活が始まる。文の優しさと解放感で幸せな時間を送るが文の逮捕で同居生活は終わる。

24歳の更紗。「家内更紗誘拐事件」で世間に性犯罪被害者(被害を受けてはいない)として同情される事に疑問を拭い切れない。文との思わぬ再会から過去の事件と文に強く意識しだす。一方、同棲相手・亮のDV、ストーカー行為が過激化し...誘拐事件が再び世間に露見していく。

19歳の文と34歳の文。経営者の父。教育熱心な母。優秀な兄。理想的?な家庭で育つ文には誰にも言えない身体の苦悩を抱える。それが後の事件につながる。幼い更紗の苦痛と自分を重ね合わせた文の救いたい気持ち。居場所を埋め合わせる2人のささやかな幸せのひととき。連れ去りは犯罪であり、許される行為ではないのだけど、温かい目で見守ってしまう。規律の中で生きてきた少年が年を重ねるごとに心の傷を深める。。そんな文にとって更紗の自由さは輝いて、希望に近いのだろう。どこにいっても世間の目は変わらず付き纏うだろうけど、2人が繋がる事で乗り越えていけるのなら、そっと心穏やかに過ごせることを願いたい。