みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画の感想を書いてます。

『櫛挽道守』 木内 昇

 

櫛挽道守 (集英社文庫)

櫛挽道守 (集英社文庫)

 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

幕末の木曽山中。神業と呼ばれるほどの腕を持つ父に憧れ、櫛挽職人を目指す登瀬。しかし女は嫁して子をなし、家を守ることが当たり前の時代、世間は珍妙なものを見るように登瀬の一家と接していた。才がありながら早世した弟、その哀しみを抱えながら、周囲の目に振り回される母親、閉鎖的な土地や家から逃れたい妹、愚直すぎる父親。家族とは、幸せとは…。

 

【感想】

跡取りとして育てられた末っ子の長男・直助が早逝してから歯車が狂い始める一家。

朴訥だが受け継いだ「技」を静かに継がせる父の姿勢や数少ない言葉の重み。。娘たちに女としての役割を全うさせたい母の想い。。やるせない世界から逃げたい妹は親の決められた相手ではない夫を選び、家を出る。。一方、縁談を断り、父のような職人になりたいと懸命に修行をする登瀬。。それぞれの思いが入り込んでくるたびに切実さが痛みとなって複雑な気持ちに駆られる。。女性としての幸せ?役割?夫婦となり子を授かり、育てること?結婚せず仕事に打ち込むこと?江戸末期に女性職人を目指す登瀬も跡取りを産む重圧の中、子供を産み、夫の家庭に仕えるのも、どちらも女性の生き方として過酷な道であるが、決して不幸せとは思えない。。とても考えさせられる。。冒頭の雪を踏みしめるシーンから始まり、、長く厳しい雪が解けるような温かみの広がるラスト。。異国の来航、幕末の混乱、世界が波乱に満ちている時代の中で小さな家族がひたむきに真摯に生きる物語。。静かに感動をしてます。
新年初読み本。。よかった😊📖🎶