みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『あとかた』 千早 茜

 

あとかた (新潮文庫)

あとかた (新潮文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

実体がないような男との、演技めいた快楽。結婚を控え“変化”を恐れる私に、男が遺したもの(「ほむら」)。傷だらけの女友達が僕の家に住みついた。僕は他の男とは違う。彼女とは絶対に体の関係は持たない(「うろこ」)。死んだ男を近くに感じる。彼はどれほどの孤独に蝕まれていたのだろう。そして、わたしは(「ねいろ」)。昏い影の欠片が温かな光を放つ、島清恋愛文学賞受賞の恋愛連作短編集。

 

虚無感が漂って、、昏い闇に飲み込まれていきそうな連作短編集だった。。ε-(ーωー;)フゥ…

結婚前に演技めいた快楽で変化から逃れる女、乱暴に扱われる行為で寂しさを埋める女、傷つけられて愛を確認する女、罪に苦しみ、愛に自信を持てない女。。どの女性も自虐的で、かたちのない「かたち」を自分の中に遺し満たそうとする。。少なからず、理解を深める。。とても息苦しいのに、読むのが止まらなかった。。
「やけど」と「うろこ」の話が良かった。
「痛くても、辛くても、あたしは目に見える愛のかたちが欲しい」と身体に傷をつける藤森さんと不器用だけど受け止めようとする松本くんのお話。。いちばん読んでて辛かったけど、藤森さんの強さとどこかに彷徨って消えていきそうな存在感に、、惹き込まれてしまいました。。昏い闇なのに、美しい世界にも思えてしまい、引きずりこまれてしまう。。怖いなぁ。。