みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『漁港の肉子ちゃん』  西 加奈子

 

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

 

 おすすめ ★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

男にだまされた母・肉子ちゃんと一緒に、流れ着いた北の町。肉子ちゃんは漁港の焼肉屋で働いている。太っていて不細工で、明るい―キクりんは、そんなお母さんが最近少し恥ずかしい。ちゃんとした大人なんて一人もいない。それでもみんな生きている。港町に生きる肉子ちゃん母娘と人々の息づかいを活き活きと描き、そっと勇気をくれる傑作。

 

初めて西加奈子作品を読んだ。読み始めはとても読みづらかった。関西弁が難しい。

肉子ちゃんの強烈キャラの理解をすることから始まる。明るくて、男運が悪くて、とっても素直で、漢字を分解することに長けてて(笑)、豪快なキャラクターという事をゆっくり理解した。そんな肉子ちゃんにはキクりんという肉子ちゃんに全く似てない美人な娘がいる。冷静に大人観察しているキクりん。この頃の女の子って大人観察をしてその中でうまく立ち回り、大人の顔色を見分ける術を誰からも教わらずに学んでる。(女は3歳からすでに女なんだって。すごいね)漁港で暮らす人達の個性は大人観察しがいがあるに違いない。

キクりんの視点から日常生活が繰り広げられているのだが、一体どんな話に繋がるのか、不思議な気持ちで読んでいると、たまに垣間見る肉子ちゃんのミステリアスな過去に興味が注がれる。ただ明るいだけのおバカな肉子ちゃんというだけではない何かが秘められている。その何かにこの親子の本質が隠されていると、時折思わせる。

そして後半。そうか。そうなのか。それでキクりんの肉子ちゃんへの観察の意味がわかった。肉子ちゃんの行動一つ一つがキクりんにとって、とても大切な事だったのか。

ラストの二人の笑顔にやられた!って私も素直に笑えたのであります。