みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『そして名探偵は生まれた』 歌野 晶午

 

 

そして名探偵は生まれた

そして名探偵は生まれた

 

 おすすめ ★☆ 

 

内容(「BOOK」データベースより)

三月には珍しい雪の日、伊豆の山荘で惨劇は起こった。新興企業アラミツ・グループが所有する保養所・萩宮荘で、若き総帥・荒垣美都夫が撲殺されたのだ。ここは歴代の所有者が次々と不幸に襲われたという呪われた山荘だった。殺害現場となったホールは完全な密室状態だった。外部からは争う物音が確認されたが、現場に入ってみると荒垣の死体しかなかった。ホールの窓の外は降り積もった雪が逃走した者がいないことを証明している。犯人はどこへ消えたのか?社内懇親会で集められた二十人の中に犯人が?事件の解決に名探偵・影浦逸水が乗り出したが…。『生存者、一名』『館という名の楽園で』を収録した密室トリック三部作。

 

名探偵・影浦逸水は天才的推理力の持ち主である。いくつかの難事件も解決する名探偵。そして名探偵に憧れる助手。なるほど、名探偵になるにはこんな方法があったか。。。?

一番面白かったのは「生存者、一名」

ある教団の信者男女4名が駅で爆弾テロを起こす。犯人グループが屍島という無人島に逃亡し、身を隠す。そのうち、殺人事件が起きるのだが、タイトルにもあり、冒頭でも生存者1名というのは確定。生き残りを賭けたサバイバルが始まる。読み応えがあったのは男女の人間模様。男は権力を振りかざし、女はしたたかに生きる。行動力があるのが男。計算高いのが女。なかなかわかりやすい。誰が生き残ったのか?という点では捉えどころのない終わり方。疑問と恐怖が同時に起こるラストだった。