おすすめ ★★★★★
【内容紹介】
道は違えど、思いはひとつ。政争の嵐の中、三兄弟の絆が試される。
『高瀬庄左衛門御留書』の泰然たる感動から一転、今度は17歳の武士が主人公。
神山藩で代々筆頭家老の黛家。三男の新三郎は、兄たちとは付かず離れず、道場仲間の圭蔵と穏やかな青春の日々を過ごしている。しかし人生の転機を迎え、大目付を務める黒沢家に婿入りし、政務を学び始めていた。そんな中、黛家の未来を揺るがす大事件が起こる。その理不尽な顛末に、三兄弟は翻弄されていく。
【感想】
初読書は時代小説からスタート!「神山藩シリーズ」第二弾。(第一弾『高瀬庄左衛門御留書』←感想)泰然たる感動から一転、今度は17歳の武士が主人公。
神山藩の筆頭家老を務める黛家。当主・清左衛門とその息子たち、栄之丞、壮十郎、新三郎の三兄弟。新三郎は大目付の黒沢家の娘・りくを妻にし、婿入りをする。長兄の栄之丞は家督を継ぎ、新三郎は大目付の仕事に勤しむ。そんな中、次兄の壮十郎が揉め事を..この事件の目付を新三郎が。。黛家を将来を大きく揺るがすこの事件の裏には、神山藩の両輪でもある次席家老・漆原内記の黛家を陥れる策略があった。そして13年後の時が経て...(第二部につづく)。
次男坊の壮十郎が問題児だけど、父清左衛門の壮十郎に対する寵愛ぶりの気持ちが共感し過ぎて、泣けてくるの。「子と申すは、よろこびだけでなく、数多のくるしみも連れてきおる。が、くるしみの多い子ほど、いろいろなことを覚えておるものな...」わかりみ過ぎる(泣)
無念や理不尽さを孕んだ第一部「少年」で、居た堪れなさに胸が苦しくなり、第二部「一三年後」の新三郎の異変に少年から大人になっていく過程には様々な葛藤から乗り越えていかなければならない苦悩もあったんだろうと描かれなかった時の流れを想像し、また胸が締め付けられる思いに駆られる。長兄・栄之丞、妻・りく、幼馴染・圭蔵、女中・みや、義父・織部正、漆原内記、それぞれの登場人物の背景、心情も丁寧に描かれ、敬愛、愛情、嫉妬、執着と新三郎に絡むそれぞれの感情へ真摯にひたむきに向き合った新三郎の愛に、心洗われる読後感でした。時代小説が苦手な読み手を、こんなにも熱い気持ちで読ませる著者はすごい!の一言です。
