おすすめ ★★★★☆
【内容紹介】
「あなたの、そのままが、いいんです!」――向田邦子、渥美清、沢村貞子、永六輔、久米宏、飯沢匡、トモエ学園の小林校長、そして父……幼い頃から人生のさまざまな場面で、徹子さんが大切に受け取り、励まされてきた「二十四の名言」。
そんなかけがえのない言葉たちで新たに半生を辿り直した、待望の書下ろし長篇エッセイ
【感想】
「徹子の気まぐれTV」って知ってます?...ビビビッビビビッ(徹子語)...爆買い、爆食、爆旅、爆遊する徹子さんの好奇心の欲を満たすYouTubeチャンネルです。年齢を感じさせない徹子さんの食欲に胸がすく思いに駆られます。そんな魅力的な徹子さんのエッセイです。向田さんとのお話が読みたくて手に取りました。
向田邦子さんのエッセイにも徹子さんとの思い出が綴られています。当時珍しかった留守番電話に慣れない人たちのメッセージが紹介され、特に面白かったのが徹子さんのメッセージ。1分間では収まらず連続9回も伝言を吹き込む徹子さん。最初は留守番電話に慣れないことを早口で伝えるも収まらず3回吹き込む。いろいろ吹き込んだあげく最後に「じゃあ、用件は直に会ったときに話すわ」..聞かなくても想像できるところが面白い。
さて徹子さんから見た向田邦子さんは服装は黒がベースのシンプルなもので声は少し低音で少し早口でやわらかい話し方をする落ち着いた、知的なお姉さん。向田さんの雰囲気を知るとエッセイがより楽しめるのでうれしい。徹子さんは居心地の良い向田さんの家に入り浸り生活を送り、帰宅しても電話で話すほど大好きなお姉さん。向田さんのシナリオに出てくる「禍福あざなえる縄のごとし」という言葉の意味を聞くと「人生では、幸せと、災いはかわりばんこに来るの。幸福の縄と不幸の縄とを縒ってできているのが人生」この言葉をある時ふと思い出す場面があります。向田さんの直木賞受賞のスピーチで数年前に大病を患っていたことを初めて聞く徹子さんはこの時に「幸せと、災いはかわりばんこに来るの」と、向田さんの言葉を頭に浮かべる。そして受賞から1年も経たないうちに向田さんは台湾の空で亡くなられた。最愛の友の突然の別れに悲しみと同時に「禍福あざなえる縄のごとし」という言葉が重く、胸に響いたそうです。向田さんのドラマには徹子さんのような人は出てこないけど、いつか外国映画に出てくるおばあさん役をやってもらいたいと早くおばあちゃんになることを楽しみにしていたふたり。無邪気なふたりのやりとりに涙が零れました。徹子さんに向田さんがどんなおばあちゃんを書いてくれたのだろう、見てみたかったな。
『窓際のトットちゃん』に出てくるトモエ学園の小林校長先生の言葉(小学生の時、図書室で読みました)や、戦時中の兵隊さんの言葉、初恋の人の言葉など人生のさまざまな場面で徹子さんが励まされた二十四の言葉。特に印象に残ったのが、森鴎外の娘・森茉莉さん。彼女の汚部屋に衝撃を受けましたが、その部屋で美と悦楽と秩序に満ちた作品を生み出す彼女の魅力を感じてみたいので、作品を読んでみようと思いました。
その他にも生放送のドラマや歌番組の裏話や様々な著名人との交流など時代の華やかさを感じるエピソードが書かれています。衝撃な話も...「ベストテン」で生放送の時間調整のために飛行機の着陸時間を変更させた話(飛行中ですよ)にはパイロット同様、私も困惑...テレビの力、強すぎる!昭和...なんて時代なんだ。
問題児だったトットちゃんが教養のあるチャーミングな女性となり、90代でも元気にご活躍されている姿に向田さんは天国で喜んでいると思う。以前記事で読んだ徹子さんの夢。100歳になったら政治家になりたい。どうか叶えてほしいです。それと食いしん坊の徹子さん。まだまだモリモリ食べてほしい~。
