みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『光のとこにいてね』 一穂 ミチ

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。

【感想】

結珠と果遠の視点で描かれている少女たちの成長物語。裕福な家庭で育った結珠学校や習い事に励み、母親の顔色を窺いながら緊張感のある生活をしている。果遠は団地でこだわりの強い母親と二人暮らし、自身の個性が周りに受け入れられず、学校で孤立してしまう。環境も性格も違う幼い二人は団地の片隅で出会い、のちに別れと再会を繰り返しながら、強く惹かれあっていく。少女たちに共通しているのは歪んだ母親を持っていること。幼い二人は母親に不安や恐怖を抱えながらも解決する術はなく、現実を受け入れていくことしかできない。二人の少女期から思春期を経て大人になるまでの母親への複雑な心情が見事に描かれている。小さな違和感から残酷な現実、諦め、絶望、抗い。感情を入り込ませる力が素晴らしい。

果遠が結珠に強く惹かれたのは自信を持たせてくれたからだと思う。教育を与えられた結珠は勉強ができないとあきらめている果遠を励ましていく。勉強ができることを素直に喜ぶ果遠に教える喜びを感じる結珠。自信を与えてくれた結珠を心の支えとして生きる果遠。無邪気な二人には永遠と思える友情は母親の身勝手さによって引き離されてしまうんだけど...。光や希望のように思える大切な存在がいるって人を強くするんだなぁ。果遠が結珠といたい気持ちだけで、どうしようもない母親との暮らしを維持してる健気な思い。

「お前は強くて優しいから、弱いお母ちゃんを捨てられない。捨てるのはいっつも弱い方なんだ」

この言葉が染みる。。大人になってからの二人...少し母親と似てしまうところが...母親の影響力の大きさを痛感してしまう。ラストの結珠に震えた。理性を保っていた結珠の見せる情熱。ほんとに大切な存在がいるって人を強くするなぁ。