おすすめ ★★★★☆
【内容紹介】
「これは家出ではないので心配しないでね」
14歳と17歳。ニューヨークの郊外に住むいとこ同士の礼那と逸佳は、ある秋の日、二人きりで“アメリカを見る”旅に出た。日本の高校を自主退学した逸佳は“ノー(いやだ)”ばかりの人生で、“見る”ことだけが唯一“イエス”だったから。
ボストン、メインビーチズ、マンチェスター、クリーヴランド……長距離バスやアムトラックを乗り継ぎ、二人の旅は続いてゆく――。
美しい風景と愛すべき人々、そして「あの日の自分」に出逢える、江國香織二年ぶりの長編小説。
【感想】
揺らぎの17歳と最強?の14歳。。年齢が絶妙だなぁ。。少女たち(従姉妹同士)の「アメリカを見る旅」。。書き置きだけ残して、家を出る逸佳と礼那。親の立場で読むと、不安しかないね。。忽然と消えた娘の安否を心配し、眠れない夜を過ごす事になるだろうなぁ。。一方で少女たちの旅は見るもの全てが新鮮で、多感な逸佳と無邪気な礼那の感性にワクワクドキドキハラハラと楽しい旅気分にもなる。。旅はいつも平和なわけではない。やっぱり現実的に考えてしまうよ。少女たちのヒッチハイクの旅は概ね危険だと思ってしまう。。危険な場面に遭遇するが、どうにか回避し、二人の旅は順調に突き進む。「順調」は危険信号だとわたしは思いがちで、、そんな自分に苦笑してしまう事が度々( ̄▽ ̄;)
逸佳の大きな出会いは編み物男・クリス。人との出会いを通りすがりの様に感じた逸佳が人を信じ始める。クリスも2人の楽しげな様子に羨望する。。わかるなぁ。わたしも2人のキラキラした感受性が眩しくて羨ましい。
旅はハプニングもあり、順調に進まなくなる。。その事がきっかけでたくさんの人と出会い、助けられながら、逸佳の「ノー」な気持ちが和らいでいく。。
とても重要で気になる人物の心の変化も面白い。礼那の母・理生那。家出をした当初は慌て、心配をし、悩み続ける。親としては当然の心理。。ところが、時折送られる娘の絵葉書が届く頃から、教会でお祈りをしたり、下の子の世話をしたりと日常を過ごすようになる。。問題は夫。家出をした娘に怒り心頭なのだが、穏やかに暮らす妻にも怒りが...。礼那の家出を境に昔から見て見ぬ振りをしていた夫との違和感が、娘の家出よりも理生那の心に大きな問題となる。。二人の旅と同時進行に妻の心理の変化が描かれて、そこが面白かった。娘の行動が母の心に何かを落としたんだろうなぁ。。
礼那の「うれしさ」を見つけると「チーク!」と逸佳の頬に自分の頬をぶつける仕草がめちゃ可愛い💕二人の旅は「チーク」の連続。。若いっていいなぁ(*^^*)