おすすめ ★★★★★
【内容紹介】
元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。
【感想】
内容が盛りだくさん。。登場人物が多い。。把握することが精一杯だった上巻を読み終わってから、下巻に行く前に再読しました。理解できたかなぁ。。おさらい。
かつて刑事部に所属していた三上義信は広報部広報官として警務部に配属される。記者との関係を無難に過ごし、刑事部への復帰を約束されていたが、一人娘・あゆみの家出を機に、事態は急変。警務部長へ娘の捜索願いをし、絶対服従の関係に。。ここから悩み多き日々が始まる。。匿名問題で広報部と記者との関係悪化、対立。やがて広報部の部下との関係も不穏。娘の家出で妻・美那子(元ミス県警。美人。三上さんは強面。美女と野獣カップル)の心身衰弱...と、夫婦としての不安(美人妻を持つ夫の自信喪失?ちょっと可愛い悩み)。。などなどあらゆる問題が降りかかる。。記者クラブとの修復に勤しんでいる時に舞い込んできた長官視察。。視察内容は時効目前の未解決事件「64(ロクヨン)」の遺族慰問や現場視察。。これが厄介な抗争に発展していくの。
「ロクヨン」とは昭和64年に発生した「翔子ちゃん誘拐殺人事件」当時7歳の少女が誘拐され殺害された事件。当時は刑事として捜査に関わった三上は広報官として「ロクヨン」の調査に。。関係者から「幸田メモ」という存在を知り、刑事部と警務部の間に大きな壁があることが判明。。長官視察を阻止したい刑事部と視察を遂行したい警務部の溝にハマる三上広報官。。「ロクヨン」にはどんな秘密が隠されているのか?
ふぅ。。大変。。なんて息の詰まる物語なんだろう。。警察内部抗争の密度が濃い。。でも引き込まれ、のめり込んでいく。。下巻は止まらなかった。。
(ネタバレします)
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元刑事部で現警務部の三上広報官の心理描写に胸苦しくもなり、熱くもなる。。組織に翻弄され、限界に苦しみ、暴走を生み出し、裏目裏目になりながら、正義と不正義に真っ向に立ち向かってる姿に涙する。。記者クラブとの亀裂が生じた匿名問題。。実名の重みを感じます。。匿名では不透明だった人間。。想像や推測に過ぎなかった存在が実名により、実体を持ち、リアルな存在となる。。実名をどう扱うかで人生が左右されていくこと。。警察と記者の攻防も神経が擦り切られる思いが伝わります。。広報部の紅一点。雑用ばかりさせられる女性警察官・美雲ちゃんの仕事に対する正義感と熱意。。頑な三上広報官の意識を変える大きな存在。。広報部としての役目をわかりやすく説明してくれた。。わたしのお気に入りです。
さてさて大筋である「ロクヨン」の真相には息を呑んだ。。三上とその周辺で起こる無言電話。。娘を殺された父の「執念」。。それに尽きる。。マ行多目だよ。。うまくいき過ぎ感はあるけど、、あくまでも『64』は警察内部抗争とマスコミと警察の攻防に焦点を置いてあるので...「ロクヨン」解決やら模倣犯やら家出娘やらは、、曖昧でも全く気にならなかったなぁ。。
超大作。。久しぶりの警察小説。。複雑な人間関係に不安が多かったけど、、面白く読めてよかった。。😌👌