おすすめ ★★★★☆
【内容紹介】
高級自転車、遺書、一通の封筒、大切な本…。あずかってと言われたものをあずかり、それがどんなものだろうと、一日百円。心やさしい店主・桐島透が営む、不思議なお店「あずかりやさん」を舞台に、お客さまが持ち込む「あずけもの」に隠されたそれぞれの思いと秘密が交差する。悩み傷ついていた心がじんわりと癒される物語。
【感想】
明日町こんぺいとう商店街の西の端に藍染ののれんが掛けられたお店「あずかりやさん」
とても誠実でとても優しくとても読書家で盲目の店主・桐島透。
人の抱えられない「物」を預かる「あずかりやさん」。。店主の桐島くんは「あずかりもの」との距離を置き、どんなお客様でも依頼は全て誠実に対応。。小さなお客様でも不穏なお客様でも、時には店主の心を動かす素敵なお客様でも、「物」をあずかる姿勢は変わらず。。桐島くんは店内で点字ボランティアの相沢さん(準レギュラー?)が訳してくれた本を読む生活。。行動範囲は狭くてもたくさんの人々や物たちとの関わりで、豊かな人間性を育まれてる。。人との交流の大事さも気づかされました。
この物語のとても良かったところは店主に恋するのれんやちょっとひねくれ者のガラスケース、「社長」という名の白い猫、預け物の自転車...と人ではなく、物や動物の視点で語られるところ。場所もほぼ店内だけ。。「物」を通して人の心に寄り添っていくあずかりやさんにふさわしい語り手たち。猫は時折寝ちゃうので、、店主とお客様のやりとりが突如途切れちゃうのも楽しい。。^_^
誰しも事情があって、不思議な行動にもワケがあり、その人にしかわからないこと。。そんな事があってもいいんじゃない?と思える温かな気持ちが広がる物語でした。。
やわらかい風が吹き込む店内で、オルゴールのトロイメライを聴きたいなぁ。。