みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『あわせ鏡に飛び込んで』 井上 夢人

 

あわせ鏡に飛び込んで (講談社文庫)

あわせ鏡に飛び込んで (講談社文庫)

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

【感想】

作者のコメント付き短編。。話も面白いけど、短編を書いた理由も面白い。。原稿料の払いっぷりの誘惑に負けて書いた作品や、、「作者当て3人競作」(逢坂剛さん、大沢在昌さん、著者)という企画で誰が書いた小説かを読者が当てる作品や、、純文学系の文学誌からの依頼で緊張して書いた作品や、、絶版となり、世間にあまり読まれなかった幻の作品(表題作)や、、当時の若手作家の集まり「雨の会」で出版したアンソロジーなど。メンバーは大沢在昌折原一高橋克彦、新津きよみ、東野圭吾宮部みゆき、著者他10名。。「雨の会」の名前の由来は、みんなが集まると必ず雨が降るから。。どうやら宮部さんが雨女で今では「異常気象女」と言われてるそうです笑。
お話の方は別れを告げられ、瞬間接着剤で男をつなぎとめようとする女や、画家の描いた鏡の絵で罠に嵌められた医師や、臨死体験を実現できる薬を開発した科学者の恐怖の末路(めちゃ怖いし、めちゃ痛い)など、、人間心理ミステリーは怖面白い。。

 

『陸王』 池井戸 潤

 

陸王

陸王

 

 おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

勝利を、信じろ。足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。このシューズは、私たちの魂そのものだ!埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか?世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足―。従業員20名の地方零細企業が、伝統と情熱、そして仲間との強い結びつきで一世一代の大勝負に打って出る!

 

【感想】

下町ロケット』を思い出す、、高揚感。。

町工場の社員一人ひとりが新規事業のランニングシューズ「陸王」に賭ける想い。。熱い。。ウルウル。。(இдஇ`。)

 

魅力ある登場人物。夢を追い苦悩する宮沢社長、現実を見つめる経理のゲンさん。縫製課の女性たち。。カリスマシューフィッター(シューズマイスター)・村野。。

夢を追う社長・宮沢と現実を見る経理のゲンさん。。経理の仕事してるからわかるけど、赤字に近づく恐怖と焦り。。怖いのよ。。資金繰りの調達は困難。。将来見込みより実績重視。。これじゃ夢も希望もないってどん底になるわ。。

縁の下の力持ち的な縫製課の女性たちの底力。。女性は強い!

選手一人ひとりに真剣に向かいあうシューフィッターの優しく熱い気持ち。。選手には心強い味方。

一番魅力的だったシルクレイ(ソールの素材)技術者・飯山さん。仕事に対しての執念さとプライドに惚れ惚れ。。「世界一になる!」ってビックマウスだけど、、なるんじゃない?って思っちゃう。。かっこいい。

わかりやすいライバル企業の嫌な面々。。この人たちが嫌であればあるほど、、応援し甲斐があるわ。

会社は大小ではなく、、仕事にかける情熱と信頼と仲間が大事だなぁとつくづく思いました。

マラソンのようにスタートしてから山あり谷あり、苦しみを乗り越え、ラストまで駆け抜けていくストーリー。。爽快感と達成感がありました。

下町ロケット』では「まさに下町ドリーム!」だったけど、、今回は「まさに町工場ドリーム!」でした。。゚+。(о'∀')bスカッと!

『香菜里屋を知っていますか』 北森 鴻

 

香菜里屋を知っていますか

香菜里屋を知っていますか

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

香菜里屋シリーズ完結編。当店の裏メニュー。それはお客様が持ち込む謎と、その解決です。ビアバー香菜里屋は、客から持ちこまれる謎がマスター・工藤によって解き明かされる不思議な店――。常連客は、工藤による趣のある料理とともにこの店を愛していた。だが、その香菜里屋が突然たたまれてしまう。そして若かりし頃の工藤の秘密が明らかになる。シリーズ完結編。

 

【感想】

常連客が解き明かす香菜里屋のマスター・工藤。。香菜里屋に訪れる客の様々な謎を解き明かしていく工藤。シリーズ最大の謎、、工藤の過去と彼の行方。。

謎は謎のままであってほしかったかなぁ。。香菜里屋の空間は、ファンタジーの世界であり、、過去を置いていきたい場所として、存在してほしいと、、常連客目線で思ってしまいました。。

 

 

『ちいさな王子』 サン・テグジュペリ

 

ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫)

ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫)

 

おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

砂漠に不時着した飛行士の「ぼく」。その前に突然現れた不思議な少年。ヒツジの絵を描いてとせがまれたぼくは、ちいさな星からやってきた王子と友人になる。王子の言葉は、ずっと忘れていた、たくさんのことを思い出させてくれた。「目ではなにも見えないんだ。心でさがさなくちゃ」。

 

【感想】

大昔に『星の王子さま』を読んでいた幼いわたしを思い出し、、ノスタルジックな気持ちになりホロリときた。。幼い頃のわたし。。別れのシーンで、ポッカリ穴が開く(当時はこんな言葉浮かばず)ような気持ち(すごく寂しい気持ち)で読んでた事を思い出した。。
昔の記憶は、、悲しい感情は全体がグレーで楽しいと黄色の映像で浮かぶ。。この本に関係ないけど、、絵本を読んでる幼い記憶はグレーが多い笑。。結構シビアな思いで読んでたなぁと、、思いに耽る事が出来ました。。

『祈りの幕が下りる時』 東野 圭吾

 

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

悲劇なんかじゃない。これが私の人生。
加賀恭一郎は、なぜ「新参者」になったのか。

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。

 

【感想】

お久しぶりの加賀シリーズ、、あんまり入り込めなかったなぁ。。登場人物に感情移入できなかったことと、、加賀恭一郎の母があまり存在感がない。。犯人の親子の絆が、こんな形で結ばれるのは、、何だか悲しいわ。。身勝手な理由で殺人をするのを、、哀愁で済ませないでほしいなぁ。。
改めて『悪意』と『新参者』と『麒麟の翼』(阿部ちゃんの顔がちらほらして集中できなかった作品だけど)が面白かったなぁ。。

『クリーピー』 前川 裕

 

クリーピー (光文社文庫)

クリーピー (光文社文庫)

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

大学で犯罪心理学を教える高倉は、妻と二人、一戸建てに暮らす。ある日、刑事・野上から一家失踪事件の分析を依頼されたのを契機として、周囲で事件が頻発する。野上の失踪、学生同士のトラブル、出火した向かいの家の焼死体。だがそれらも、本当の恐怖の発端でしかなかった。

 

【感想】

隣人が凶悪犯罪の犯人なのではないか?と不審に思う。。これだけで、、既に怖いわ。。😱
真夜中に隣人の娘(中学生)が、、教授の家に訪れ「助けてください、あの人は父親ではありません」と救助を求めてくる。。なりすまし。。やだぁ。。この後の展開は、、真実まで一転二転...となり、お久しぶりのサイコミステリーでした。
大学教授の高倉さんの後手後手感や判断ミスで無駄に被害者を出したり、、奥様刺されて入院ちうに生徒に淡い恋を抱いたり、、この人も迷惑行動が目立つけど、、心の弱さを突かれると冷静さを失い、罠にハマっていく。。ちと気持ちわかる。。強くならないと。。

映画化もされているそうで、西島秀俊香川照之竹内結子など、、キャストが良さそうなのに、、相当ダメダメらしい(わたしは観てません)香川照之...怪しい隣人。。これは怖そう。。

近所には顔の知らない住民たくさんいる。変な事件が起きない事を願うしかない。

一番狂気なのは、、人間なのね。。

『仏果を得ず』 三浦 しをん

 

仏果を得ず (双葉文庫)

仏果を得ず (双葉文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

文楽に情熱を傾ける若手大夫の奮闘を描く青春小説。健は大夫の人間国宝・銀大夫を師匠にもつ。ある日師匠から、技芸員から「変わり者」と噂される三味線、兎一郎と組むように言われる。不安と戸惑いを覚えながら稽古に臨むが、案の定、兎一郎は全く違う演目をひき始める……

 

【感想】

文楽。。全く知らない世界だけど、自分にとっての一番大事なものに全力で取りかかれる事は幸せな事だと思う。。

修学旅行先で文楽義太夫)に魅了された健が、師匠、兄弟子に振り回されながら、日々芸の道に突き進む。。師匠からいきなり「兎一郎と組みぃ」と言われ、戸惑う健。義太夫と三味線は夫婦の様なもの。。「実力はあるが変人」の兎一兄さんと夫婦になれるか、、奮闘。
小学校に文楽指導ボランティアをしてる健とミラちゃん(女流義太夫を目指す)の交流も微笑ましい。一目惚れした女性との恋愛に溺れる時もあり、、ミラちゃんと恋人との三角関係に悩む恋愛バタバタ劇もあり。。私生活での人との関わりで人物(役)の性根を掴み、役作りに励む。。何でも芸の肥やしね。。謎の兎一兄さんの秘密もちらほら、、暴かれ、、気づけば、1ページを開く前の「これ、、読めるかなぁ?」という不安が消され、一気読みでした😊📖🎶
ミラちゃんのお話を読みたいなぁ❣️